ポンコツ娘は『ひとりごと』すらまともに言えない

　そんなサブタイトルを勝手に付けたくなりました。

　主人公の紫霞は、元々は暗殺者として腕を認められていた。しかし、謀略によって追放・島流しという憂き目に遭わされる。
　更に、別れ際には一つの『術』を施され、以後は人を殺めたら自分も命を落とす、という体質にされてしまう。
　復讐を誓いつつ、島流しにされる紫霞だったが……。

　この娘、とんでもないポンコツなのです。基本がコミュ障なので、人に話しかけられると確実にキョドってどもります。
　とあるきっかけで『後宮』の女官に選ばれるという展開になりますが、そこでもまた強烈なポンコツっぷりを発揮。

　暗殺という技術がなければ完全にただのポンコツにしか見えない彼女。某『薬屋』のマオマオちゃんのような優秀な推理能力も薬の知識もなく、一体彼女はこの先なんの役に立つのだろうか。今のところ八方塞がりで、どんな方向へ向かうのか予想もつきません。

　それでも、きっと大きな何かを見せてくれる。そんな予感がひしひしと伝わってくる作品です。謀略によって紫霞を追放した麗鳳や、紫霞に目を留めて女官に推薦した皇太子の幻龍。大きな世界の中で、このポンコツ娘がこれからどういう活躍をし、どうやってのし上がって行くのか。彼女の挙動不審っぷりに微笑みつつも、先がどんどん気になって行きます。

　最終話までに彼女のコミュ障は治るのか。果たして復讐は果たせるか。恋の行方は。見所たっぷりの面白い作品です。