「前進し続けてもよいのか?」という疑問


 終わりの象徴のように語られる「少子高齢化」問題。
 成長しているはずだが、理想郷からはかけ離れているように見える現状。
 結局、正しいのか? 間違っているのか?
 


 GDP(国内総生産)の原案を考えたとされる経済学者サイモン・クズネッツは「GDP形式はあくまで一指標であり、依存しすぎるべきではない。経済成長の尺度とするのは間違った考えである」と述べている。
 しかし現に国の勢いを示す尺度にはGDPが用いられ、それが「現状維持=堕落・怠慢」という強烈なプレッシャーを、世界中にばらまく結果となった。

 本当に放っておくとまずいのか?
 手を加えた方が悲惨なことにならないか?

 かなりしっくりくる疑問の提示であり、納得しながら本文を読み進めていた。

 個人単位から国単位まで、共通して考えなくてはならない疑問として、
「この現状のどこまでが【甘え】【ワガママ】【私利私欲】によるものなのか、どこからが【考えられた】ものなのか」
 という点にある。

 坊主憎けりゃ袈裟まで憎い、という言葉もあるように、人は一面を見ただけで全面が同じ色だと思い込んでしまう。
 仮に人間が情報・道具による誘導を受けているとしても、それでテクノロジーすべてを否定しても仕方がないのと同じだ。
 冷静に疑いを持つこと。「耳障りの良い」「感情が揺さぶられる」結論に安易に飛びつかないこと。正面だけでなく、側面・裏面を見るように努めること。

 我々もまた、俗世を泳ぐマンボウである。