梅雨の匂い
吉田さんはここに通うようになってから1年もしないでいなくなってしまった。縁さんはもう認知症状がだいぶ進んでしまっていたのに、最後の手紙が届いてそれを読んでから大号泣してしまった。「ごめんね。」「ありがとう。」「大好きでした。」と口に出していた。それはもう本当に心から愛していたんだなと思うほどに。
それから常に恋文は手放すことなく持ち歩いていた。読んでは泣き、読んでは感謝と愛の言葉を綴っていた。
梅雨の匂いがしだした頃、縁さんもいなくなってしまった。なんだか今まで経験してきた中でも特に濃い方だったなって思う。時代は移ろうが恋は変わらず、いつまで経っても色褪せないもんだなって。
そう学んだ私にもやっと季節外れの春が来ました。こんな報告早く届けたかったな。縁さんと吉田さんみたいに変わらない愛を紡いでいけたらな。
恋文 夢うつつ @hideyu
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