第18話:真実の指輪

「どういうこと?」


「真衣ちゃんの彼氏は、私の元彼で、舞台俳優の北村利音。本名は野宮利音」

「舞台俳優?」

「そう。最近ようやく人気が出てきて。真衣ちゃんが利音と付き合う前に私たちは三年付き合っていた。

 なのに、利音、人気が出だしてから調子に乗っちゃって。昔はしなかった浮気を平気でするようになったの。

 でも私は利音を信じてた。三年目の私の誕生日に欲しい物をプレゼントするって利音に言われて、私嬉しくて。

 それで指輪が欲しいって言ったの」

「それが真衣ちゃんがつけていた指輪?」

「そう。オーダーメイドなの。宝石を指定してオーダーするの」


 優樹菜ちゃんはそう言って、置かれていた水とコーヒーを一瞬手に取るのを迷ってから水を取り、一口飲んで続けた。

「真衣ちゃんがつけていた指輪。水色の石だったでしょ。あれは三月生まれの私の誕生石アクアマリンなの。私、その指輪のオーダー中に利音と別れて」

「そういえば真衣ちゃんがつけていた指輪の色は水色の石だった」

 ごそごそと優樹菜ちゃんは鞄から何かを取り出した。

 ことん、と音をたてて置かれたのは真衣ちゃんがつけていたその指輪だった。

「そう。これは本当は私の指輪なの。

 私が何日も探して、やっと理想通りの指輪を作ってくれるお店を見つけてオーダーしたの。

 だから私にとって大切な指輪だった。なのに利音。それを次に付き合う女の子にあげるなんて……。

 私くやしくて、くやしくて」


 優樹菜ちゃんの目から涙がこぼれた。

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