第11話:コーヒータイム

明日は卒業検定のため、万全のコンディションで挑むべく、一人で部屋に篭り明日に備える。


家から持参していたライオンコーヒーのバニラキャラメルフレーバーのドリップコーヒーをコップに設置し、湯をかけていく。香ばしいコーヒーの香りと甘いバニラキャラメルの香りが広がった。

「うーん」

 唸り声を上げながら、私は考え込んでいた。


結局、真衣ちゃんの大事にしていた指輪はでてこなかった。きっと真衣ちゃんが部屋のどこかに落としたとかで、でてくるかと思っていた。でもでてこなかったのだ。

どう考えてもおかしい。

真衣ちゃんは冷蔵庫の上の机に指輪を置いたと言っていた。ウノをしていた最中に、皆何度かドリンクを冷蔵庫に取りに行ったり、部屋の中にあるトイレに行ったりして、席を立った。


でもそれ以外は動いていない。確かに冷蔵庫の上だからドリンクを取りに行く時に、あの机の上に指輪が置いてあれば、指輪を盗ることは可能だ。ウノに夢中だった私達は、わざわざ他人の動向を確認していない。でもよく思い返すと、全員一回は冷蔵庫にドリンクを取りに行っていた。でもあそこは隠せる場所が無い。


冷蔵庫の中も探したけど、無かったし。無くなるなんて不思議だ。疑いたく無い、がもし誰かが盗んだ場合、犯人は一体どこに指輪を隠したのだろう。


明日、卒業検定に合格すれば、私達はこの合宿所を去る。

謎を残したまま去るのは、なんだか気持ちがすっきりしない。


「うーん」

私は再び唸りながら、学科教本を手に取った。

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