第21話:発進
「あーいた! もうすぐバスが出発するよ」
沙耶香が叫びながらこっちに向かって走って来た。
***
「でもまさか礼央君があの北村利音の弟だったなんて。そりゃかっこいいわ。言われてみれば顔似てるし」
運転しながら言った沙耶香は、もう運転が様になっている。
ちょうど三ヶ月前に北村利音が出演していた舞台を偶然沙耶香は観にいっていたらしい。
それで顔に見覚えがあったそうだ。
「しかし、よくキャンドルに気が付いたね」
「重いキャンドルをわざわざ合宿に二個持ってきていたっていうのはおかしいなって思った。
一個は予備だったのかな、なんて。それに隠す場所はあそこしか無かったもん」
「まぁ、色々あったけど合宿楽しかったよね」
スマホを見ると翔君からメッセージが来ていた。
「翔君達、もう着いたって」
翔君、礼央君の二人と待ち合わせをしている。
四人でデートだ。
信号は青になり車は前進した。
END
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