第一章 やり直しの時間④
「
「いえ、とんでもございません」
準備をしてくれたリッカが下がり、
「私がここに来た理由だけれど……実は、君の夢を見てね」
「夢、ですか」
心臓がどきりとする。
私だって、あの夢がただの夢だとは思えなかった──。
「今から
いきなり切り出された話に、息が止まるかと思った。テオドール殿下の言葉が、時間が巻き
もちろん、笑い飛ばすような
つまり、真剣にそのようなことを聞く気持ちになる何かが、テオドール殿下にはあるということよね。
まさか……。
「第一王子
思わず声が
しかし、
「いや、残念ながらほとんど覚えていないんだ。ただ、なぜか二度目であることは分かる。巻き戻る
殿下は気持ちを落ち着かせるように、一度深く息を
「夢に出てきた君は、聖女の
聖女の呪いを解きたい……? それは一体どういうことだろう。疑問に思ったけれど、テオドール殿下にもその意味はよく分からないらしい。
「……色々聞きたいことはあるのですが……私の夢にも第一王子殿下が出てきました」
「ふうん? テオドールでいいよ」
「……テオドール殿下は夢の中で、聖女とは何か考えろと私に言いました。それに、私に会いに来て、とも」
会いに行くまでもなく、テオドール殿下がこうしてすぐに現れたわけだけれど。
「なるほど……君の様子を見る限り、夢は君が見せているわけではないわけだ」
思わぬことを言われて、まさか、と首を横に
「私の方こそ、殿下が私に夢を通じて何かを教えようとしているのかと思っていました」
二人揃って夢を本気にして、相手が何かを自分に伝えようとしていたと思っていた。
普通に考えるとおかしなことだと分かるけれど、それだけの力があの夢にはあったのだ。……そう思うと、ますます普通の夢ではなく、なんらかの意味を持つのではないかと思える。
「さっき、私も全て覚えているのかと聞いたね。つまり君は覚えているんだろう? 君の身に何が起こったのか、教えてくれるかい?」
聖女の力で婚約者を奪われたけど、やり直すからには好きにはさせない 星見うさぎ/角川ビーンズ文庫 @beans
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