序章 婚約破棄、そして
三年間通った学園の卒業パーティーでそれは起こった。
「エリアナ・リンスタード
私はあまりのことに
目の前で
彼は私の婚約者だ。いえ、婚約者だった、と言うべきなのだろうか。
殿下に代わりエスコートしてくださったランスロットお兄様の、私を支える手に力がこもったのが分かった。
「残虐非道な行為、とは?」
私の問いに、殿下はますます表情を険しくさせる。
「しらばっくれるのか? 聖女であるデイジーの貴族としての身分が低いからと、
「私はそんなことはしていません!」
「認めないのか! お前がそれほど
私は思わず
魔法適性はなくとも、ジェイド殿下を支えていけるよう、今日まで努力を続けてきた自負がある。それなのに……。
私を
殿下は厳しい
ただし、私には全く身に覚えのないことばかりだ。
「まあ、ついに殿下はご決断なさったのね」
「ほら見て、エリアナ様はこんな時でも表情を変えられないわ」
「さすが、悪役令嬢と言われているだけあって
あちこちから、そんな
悪役令嬢?
それは、私につけられた
周囲の人たちは、私のことをまるでその悪役令嬢のようだと言っているのだ。
嫉妬で虐め? そんなことするわけがない!
ちらりと、ジェイド殿下の後ろに隠れるようにして寄り
彼女はデイジー・ナエラス男爵令嬢。
彼女は最近
我がマクガーランド王国は愛の
デイジーはジェイド殿下の
「エリアナ様! 罪を認めて謝罪してください! でなければ……あなたは
処刑……一体なんの罪で私を裁くつもりだというのだろう。
あまりの
彼女のその表情を見た瞬間、苦しいほどの感情が私の体を
殿下の愛を失った
いいえ、これはそんなものではない。
メラッ……。
それは、悲しみと
積み重なった悲しみも全て
愛していたのに。愛していると言ってくれていたはずなのに。
いつから私を見る目が変わっていってしまったのだろう。
殿下の冷たい目が、私がこれまで大切に育ててきた愛を、
「もういい! 衛兵よ、この女を
罪状を認めず、謝罪する気配のない私に向けて殿下が大声を上げる。私に寄り添うお兄様がハッと息を
「まさか! ……っエリアナ! こんなっ、こんなことが許されるわけがない!」
兵に引き
乱暴に腕を
どうして? 私が何をしたというの?
涙に
あんなに
その光景を最後に、暗い暗い
頭の奥底で、ずっと
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