第一章 やり直しの時間②
「はっ!」
息が
「お
混乱していて頭がぼうっとするけれど、よく見ると自室の
……私は
「驚かせてごめんなさい、リッカ。私、悪い夢をみて……」
そう、悪い夢のような出来事だった。心を落ち着けたくて、心配してくれているリッカを見つめる。……あら? なんだか……
「お嬢様……とてもうなされておいででした」
「……私、
「はい、入学式まで随分と
「入学式……?」
ちょっと待って、一体どういうこと? だって、学園の卒業パーティーで、私は
その時、リッカを見て
気のせい? いいえ、やっぱりおかしい!
ばくばくと大きな音を立て始めた心臓を
まさか、時が……巻き
「──お嬢様!?」
混乱の中、導き出された答えに、私は思わず
「エリアナ!」
呼びかける声に
「大丈夫か、エリアナ……お前が高熱を出して
「私……」
お兄様は優しく私の頭を撫でる。どうやら心配して
ふと自分の手を見つめる。指先が冷えて
だけど、混乱する頭に、そんなわけがないと、胸の痛みが告げている。
「聖女とは、何か……」
疲れ果てた心の中に、夢の中で聞いたテオドール第一王子
熱も下がり、ようやく落ちついた
まず、やはり時間が巻き戻ったとしか思えないこと。
学園の入学が十五歳で、婚約破棄を告げられた卒業パーティーの頃は十七歳。およそ三年
反応を見ている限り、リッカや両親、お兄様は巻き戻る前のことを覚えていないようだ。
なぜ時間が巻き戻ったのか、どうして私に
──気になるのは、熱に
ほとんど話したことのなかったテオドール殿下の意味深な言葉が気になる。
聖女とは、何か……。
聖女として
私は、自分の身に起こったことの理由を、知りたいと思っていた。
「お嬢様」
ベッドの上で考え込んでいるとリッカに声をかけられる。
「どうかしたの?」
「はい、第二王子殿下がお
心臓がどきりと音を立てる。時が戻る前、最後に見た冷たい目が思い浮かんだ。
随分長い時間、私は殿下に冷たい態度をとられ、苦々しい表情ばかりを向けられていた。
そのことを思うと、会うのが
「すぐに準備するわ」
しかし、会わずにいることはできない。それに、ジェイド殿下が冷たくなっていったのは学園に入学してからのことだ。
だから、大丈夫。自分にそう言い聞かせながらドレスに
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます