第4話 家族を失った少年④

「え?急に家に来いって一体どういうことですか?」

「ああ悪い、流石に急すぎたな。」


そこから業平様は僕に説明してくれた。

あの女の怨霊は業平様が追い払ったこと。

町の人は僕以外全員死んでいるということ。そうなると僕は

別の町で、まったく知らない人達と過ごすことになること。

そして、別の町に行けばもうあの女の怨霊とは会わないこと。


「もうあの女の怨霊には会うことがなくなる?」


どうしてだろう?何故か全く嬉しくない。いい事のはずなのに?

どうして?


「あの。なんだか気持ちが変です。女の怨霊に会わなくていいはずなのに。なぜだか全く嬉しくないんです。何故でしょう?」

「フッ、それは怒りだ。白。」


怒り?そうだ僕は怒ってる。

父さんや母さん、町のみんなが殺されたことに。

何も出来ずに震えていただけの自分に。

そして何より僕の、僕達の日常を壊したあの女に。


「そうだ白。お前は怒ってる。そんなお前に2つの道を選ばせてやる。」

「2つの道?」

「そうだ。1つ目はさっき言った通りだ。そして2つ目は

俺の弟子となり、戦う術を身に着け家族の仇を討つ道だ。」

「家族の仇を、あの女を討つ.....」

「お前はどちらの道をゆく。さあ選べ、今この時この場所で。」


逃げるか、戦うか...........僕は、いや私は


「在原業平様、どうか私に戦う術を教えてください。」

「フッ、いいだろう。六歌仙であるこの俺が直々に鍛えてやる。」

「六歌仙?」

「そこからかよ!?」


こうして私は在原業平様の弟子となった。



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平安の歌あそび @depokon

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