第6話 エピローグ
「えへへ、バレちゃった?」
ちぇっ、今いいとこだったのに……。
私はぷらっちへの秘密の気持ちを悟られないよう、翔に向かってペロっと舌を出す。
ていうか、感謝してよね。
翔がめぐみちゃんと手を繋げたのは、私たちのおかげなんだから。
そう言ってやりたいのに言えないのがもどかしい。だってこの腕時計の機能は、めぐみちゃんには秘密なのだから。
「えっ、シルフィさん? そしてぷらっちさん!?」
遅れて駆け寄ってきためぐみちゃんにも見つかってしまう。
さすがはライブに通ってくれてるだけのことはある。サングラスをかけて髪の色も普段とは違う私たちをちゃんと認識してくれるなんて。
「てっきり俺だけがサーヴァントだと思ってたのに。マスターはそっちだったんだろ?」
一方、翔はカンカンだ。
だからさ、貸す時言ったよね。この腕時計の機能はめぐみちゃんには秘密だって。そんな言葉を彼女の前で使わないでよ!
私は翔のことを「黙れ」と睨みつけた。
「えっ、翔くんってシルフィさんのサーヴァントだったんですか?」
勘違いしてくれるめぐみちゃんに救われる。
可笑しくて、くすくすと笑ってしまった。
「だってさあ、翔がなんかウジウジしてるからさぁ」
「そうよ。後ろから見てて、すっごくもどかしくなっちゃった」
「だから騙していいって話にはならないだろ?」
ぷらっちが援護してくれたけど、翔の気持ちは収まりそうもない。
するとめぐみちゃんが、とんでもないことを言い出したんだ。
「ごめん、翔くん。今までずっと、あなたのことを騙していて」
思わず私はぷらっちと顔を見合わせた。
いやいや、騙していたのは私たちだけで、めぐみちゃんは決してグルじゃないから。
翔を見ると、青白い顔で呆然としていた。
違うんだよ翔。あんた一人だけが仲間外れじゃないから。
これがトラウマになって女性不信に陥らないよう私がフォローしようとした時、めぐみちゃんがさらなる爆弾発言を投下した。
「ホントはね、あなたに近づきたくてホワイトウォッチーズのファンになったの。そしたらいつの間にか沼にはまっちゃって……」
その時の翔の顔が忘れられない。
鳩が豆鉄砲を食ったようというのが見事に当てはまる表情だったから。
ていうか、騙してたってそっちのこと?
するとめぐみちゃんは顔を真っ赤にしながら翔に告白する。
「正直に言います。私、翔くんのことが好きです。付き合って欲しいです。お姉さんたちも応援して……くれますよね?」
「もちろんだよ!」
「やったね、翔くん!」
なに、この超展開。
青春全開の小っ恥ずかしさで体中を掻きむしりたくなってしまう。
悶絶する私たちをよそに、翔とめぐみちゃんは手を取り合って走り去ってしまった。
サングラスの不審女が二人、観覧車の下に取り残される。
「よかったね。私たちの行動って、なんか無駄骨だったかも……?」
ポツリと呟くぷらっち。
そんなことないよ、ぷらっちは感じてないかもしれないけどさ。
ぷらっちに手をぎゅっと握られて、そして抱きしめられて私は自分の気持ちを確かめることができたんだから。
「あったよ。すごい収穫が」
「ええっ、そうなの? それってなに?」
私は自信満々にこう答えたんだ。
「それは秘密だよ」
おわり
それは秘密だよ つとむュー @tsutomyu
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