Secret garden

にわ冬莉

GARDEN

 桜の木の下には死体が埋まってるんですって。

 だからあんなに綺麗な花が咲くのね。

 薄いピンクは大地に溶けた赤い血が薄まったせい。

 儚く散る花びらは、死体から受け取った気勢の欠片……。



「私が殺したんです」

 目の前の刑事は、女の告白に真剣な眼差しを傾ける。

「仕方ないじゃありませんか。綺麗な花を咲かせるためには、必要だったんですもの」

 女に悪びれた様子は一切なく、その顔には微笑みすら浮かべている。


「旦那はどうなってる?」

 年配の刑事が訊ねると、

「もうすぐ海外から戻るとの連絡が来てます」

 若い刑事が答える。

「精神鑑定が必要だな」

 庭を、見る。


 女が殺したのは、強盗犯。

 だからは、正当防衛なのだが……、

「勿論、殺意はありました。殺す気がなかったら、殺せませんもの」

 妖艶に笑う女の唇が赤く艶めく。


 広い中庭には沢山の種類の花が一面に咲き誇る。

 唯一の違和感は、であることだ。



 ——何人が眠っているというのか。

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Secret garden にわ冬莉 @niwa-touri

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