昼行燈の無能警邏官は裏の世界で一目置かれる始末屋でした

　どこかで誰かが泣いている？　――いいえ、そんな声は聞こえません。
　俺を誰だと思ってる！？　――ええ、今後は気を付けます。
　正義の味方は張りぼての見掛け倒し、誰も助けちゃくれません。
　だったらこの手で……それが出来たら泣いてません。
　ならば天に祈るしかありません。
　どうか神様、そこにいるなら聞いてくださいな。
　この無念、この恨み、どうか晴らしてはくれまいか？

――――


　東の果てにある島国『イーストエンド』
　圧政、魔族の脅威、あらゆる理不尽から自由になろうと移住した開拓者たちの子孫は今や新たな理不尽を生み出す側に成り下がっていた。
　街の平和を守る警邏隊は権力者たちに忖度し金持ちに買収され全く役に立たない。
　力なき者達は襲い掛かる理不尽に泣き寝入りするしかない――
　だ…続きを読む