最終話 夢を見るように

 血と泥で汚れたズタボロの肉体が力なく大地に投げ出される。

 半ば肉塊と化して崩れ落ちたハワード。

 ……だがそれは魔王ハザンの死を意味するものではなかった。


 なかみ……その邪悪な意思は既に新たな器に移っている。


「ふぅ……間一髪だったな」


 魔族サイオーム……否、新たな姿となった魔王ハザンが自分の全身を見回した。

 蔦状のものが複雑に絡み合って人型を形成しているボディを。


 そこへクリスティンとクオンの二人が駆けつけてくる。


「……間に合わなかったようだ」


 微かに苦々しく淡々と言うクオン。


「あわわわ。ど、どうしましょう……」


 走りながらクリスティンはオロオロしている。


「来たな、小娘ども……!! 随分と好き放題してくれたがそれもここまでだぜッ!! 叩き潰してやる!! 第二ラウンドといこうか……ッッ!!!!」


 吼えるハザン。

 その身体から膨大な魔力がオーラとなって立ち昇る。

 目には見えない殺意が暴風のように周囲に吹き荒れた。


 ……しかしクリスティンたちは怯まない。

 跳躍したクオンが空中で丸くなった。

 すぐにクリスはその意図を察して鎖を両手で掴み振り回しながら眼前の魔王に襲い掛かる。


「えいやーっっ!!!!!」


「……そうそう何度も同じ手が通じると思うんじゃねえッッ!!!!」


 叫びと共に地面から無数の太い根が突き出しハザンの前に壁を作った。

 クリスティンが叩き付けたトゲトゲボール(クオン)はその根をバラバラに砕き散らす。

 ニヤリと不気味に笑ったハザン。

 末端の根は粉砕されてもあまり本体にダメージはないようだ。


「恐怖しろクズども!!! 戦士級ウォーリアクラスの身体でもオレが使えばこうなるのだ!!!」


 絶叫し胸を反らして両手を広げたハザン。

 その身体が風船のようにぼこんと大きく膨れ上がったかと思うと次の瞬間爆発的に増殖を開始した。


 大地に根を下ろし空を覆わんほどに枝葉を広げ天を突く巨木と化すハザン。

 上部は雲よりも高く、幹の太さはとても視界に収めきれない。


 大地の揺れも凄まじく立っている事すらできない程だ。

 クリスティンは必死に地に伏せて耐えている。


「があああ、なんじゃこりゃ!!!!」


 駆けつけたメイヤーたちも地に投げ出されて何度も跳ね回り、愕然と頭上を見上げている。


「どうだ……これが支配者の姿だ」


 巨木が大地を……そこにいる限りなく小さな存在を睥睨する。


「ふむ、この身体も悪くねえなあ。本体が簡単に移動できなくなったのは不便だが……」


 ハザンはバキバキと音を立てて左右に伸びている一際太い枝を腕のように動かして様子を確かめている。


「分体はいくらでも作り出せるしオレの手足は財団だ……!! 問題はない!!! このエリアは土地が枯れているが肥沃なエリアまで根を伸ばせば無尽蔵に大地からエネルギーを引き出す事も可能!!! オレこそが魔王!! 世界に君臨する闇の世界樹だ!!! 捻り潰してやるぞ雑魚どもッッッ!!!!」


 ビリビリと大気を震わせる叫び。

 臆することなくクリスティンは大樹の幹に鋼球と化したクオンを叩き付けたが……。


「ギィヤハハハハハッッ!! 何だその非力な一撃は!!! わからんのかバカめ!! 質量デカさは強さなんだよ!!!」


 表皮の一部を削り飛ばしたがハザンは意に介さない。

 カウンターのように繰り出された太い根に打たれてクリスティンが吹き飛ばされる。


「……ッ!! ッッ!!!」


 全身がバラバラになりそうな衝撃に意識を明滅させたクリス。

 並の人間であれば今の一撃で粉々にされていただろう。


「元のサイズで受ければ大きなダメージを受けていただろうがな……。お生憎様だ。今のオレにとってはお前の一撃など掠り傷も同然なんだよ!!」


 大地に投げ出されたクリスティンが悔しげに歯を食いしばりながら顔を上げた。

 そんな彼女の視界には今、必死に抗戦する仲間たちの姿が映っている。


「非力な雑魚ども……どうしたそんなものか? こそばゆいだけだぞ!!!」


 嘲笑と共に無数の巨大な根がまるで大波のように荒れ狂う。

 リューが……そしてルクシオンが……。

 仲間たちが為すすべも無く打ちのめされていく。


「ギギィィハハハハハハッ!!! ……はぁ……」


 哄笑したかと思うとハザンが急にクールダウンした。


「こんな程度か。こんなものか。つまらん。脆弱で価値のないカスどもが」


 地面から伸びた太い根の内の一本がクリスティンに絡みついて締め上げた。


「小虫をいたぶるのにも飽きた。消え失せろッッ!!!」

「う……ぐっ……!!」


 全身が軋む。

 激痛に表情を歪めるクリスティン。

 根に圧殺されそうになっているのは彼女を救おうと周囲でリューたちが必死の抵抗を試みる。


「くッ……!! クリスティン!!」


 拳の連打で太い根を削るリュー。

 だがそれは戒めを解くには及ばず……穿たれた箇所もすぐさま再生が始まっている。

 他の仲間たちも同様だ。

 誰もが死力を振り絞っている……それなのに。

 ……届かない。

 及ばない。

 彼女を助けることができない。


「悪意だ……この世界を動かすのは悪意なんだよ!! オレのド級の悪意で世界を覆ってやる!! 支配してやる!! 踏みにじってやる!! 貪りつくしてやるぞッッ!!!! ギィハハハハハッッッ!!!」


 自らの口にする通り、ハザンの悪意そのものが雷鳴のような大音声となって空に響き渡った。


 締め上げられているクリスティンの意識が徐々に漆黒に塗り潰されていく。


「……お~い」


 絶体絶命のクリスティンたちの耳にそんな間の抜けた声が届いたのはその時であった。


 赤く輝く何かが空から近付いてくる。

 それは空を飛ぶ銀色の戦士の背にある噴射口からの炎の色だ。


 そのコテツに抱き抱えられたマキナ教授が手を振っている。


「おーい、来たぞ~。何をしに来たのかというとだな……助けに来た」


 地面に舞い降りたコテツの腕の中からぴょいと教授が飛び降りる。


「いやまったく……夜中にドタバタするんじゃないよ。はぁ眠い」


 ボヤく教授の頭は寝ぐせでボサボサである。


「いつも昼夜逆転の生活をしているのにこんな日ばっかり普通に寝るから……」

「お黙りシャラップ」


 苦言を呈するカラクリ助手をジロリと睨んだマキナ。

 そして気を取り直したように白衣にサンダル履きのドワーフはコホンと咳ばらいをした。


「それにしてもでっかく育ったもんだ。こいつアレだろ? 穴に潜ったときに戦ったやつだろ?」


 目の前に大蛇のように横たわっている巨大な根をサンダルで軽く蹴った教授。


「!? おい!!」


 慌てたカエデが声を上げる。

 ……だが、彼女の予想に反して根はピクリとも動かない。


「ああ、心配はいらない。もう地面には撃ち込んである」


 ニヤリと教授が意地の悪い笑い方をした。


(……なんだ……?)


 そんなやりとりをハザンは聞いていなかった。

 自分の体に起きた異常に気付いたからだ。


「……?」


 自身を締め上げる根の力が徐々に弱まっていくのを感じたクリスも怪訝な表情になる。

 そして戒めは解かれて彼女は地面に落とされた。

 そのクリスティンに慌てて仲間たちが駆け寄る。


(身体の……自由が……痺れる? なんだ? なんだこの……強烈な不快感は!!?)


 大樹が身を捩るようにうねった。

 バキバキと音を鳴らして。


「改良型だ。前回の『見渡す限り荒野くん』よりも大幅に除草効果がUPしたやつだぞ。名付けて『まだ見ぬ大地まで荒野くん』だ」

「ひっでえ名前」


 思わずキリエッタが漏らした一言は全員の感想を代弁していた。


「オオオ……オゴッ……! グゴッゴゴゴゴゴ……!!!」


 苦しみ悶えている大樹。

 その表皮が徐々に枯れた薄茶色に変じていく。

 自らを闇の世界樹と称した魔王が今、猛烈な速度で朽ちて死に向かっている。


(こんな……ッ!! こんなバカな事があるか!! オレは支配者だ……この世を統べる者だぞ……!!!)


 もがく大樹が必死にを探す。

 毒が完全に全身に回る前に新しい肉体を確保しなくてはならない。

 ……非力すぎる相手はダメだ。

 乗り移った直後に討たれてしまう。

 ある程度以上の実力者で今疲弊している者は……。


 目に入ったのは地べたに座り込んで呼吸を荒げているクリスティンだ。


「お前だ娘ェェッッッ!!! その身体を寄越せッッ!!!!」

「!!」


 最後の力を振り絞って無数の根を彼女に向けて伸ばすハザン。

 思った通り標的はさしたる抵抗もできず再び根に絡めとられた。

 乗っ取りの成功を確信する魔王。

 巨大な幹の表面に浮かんだ顔が邪悪な笑みに歪んだ。


「……!!?」


 だがその喜悦の表情は直後に驚愕に変わる。


 ……自分が掴んだものが目的のものではない事に気付いて。


 ぼわん!!と音を立てて煙を噴出したクリスティン。

 彼女の姿は消えてヒラリと人型に切った紙片が舞い落ちる。


「引っ掛かりおった。最後はそうくると思っておったわい」


 それはメイヤーが放った式神だ。

 本物のクリスティンは仲間たちが背に庇っている。


 そして偽物のクリスと一緒に魔王が掴んでいたものは……。

 金属の覆いが付いた透明なシリンダー型の器具であった。


「グアッ……アアアアアアアッッ!!!! 何だこれはぁッッ!!?? 吸い取られる!! オレが吸い取られる!!!!」


 乗っ取りの能力を行使するのはとうに止めているのに魂とも言うべきハザンの本体が今シリンダーに吸収されようとしていた。


「それは貴方用に用意した特性捕獲器なのですよ。魂の牢獄ともいうべきものなのです。貴方の相手の体を乗っ取る能力を利用しないと作動させる事ができませんが、一度そうなったらもう逃れる方法はありません。悪しからず」


 メイヤーの隣に立つアメジストが言う。


「やめろ!! やめろ虫けらどもがあッッ!!! よくもこのオレにこんな……オレは貴様らのような下等生物の世界で千年耐えてきたんだぞ!! それを……それをこんなッッ!!!」


 最後の抵抗を見せる魔王にはぁとアメジストはため息をついた。


生命いのちに上等も下等もないのですよ。何千年生きていようがそんな事もわからないからこうやって自分が見下していた相手に足元をすくわれるのです」

「……!! …………ッ!!!」


 最後に魔王は絶句した。

 或いはもうその時点で発言ができるだけの力も残っていなかったのか……。


 捕獲器が輝きを放った。

 それはハザンが完全に捕えられた証である。


「おしまいなのです。皆さんお疲れさまでした」


 その捕獲器を手に取ってアメジストが一同にぺこりと頭を下げた。


「……どうにかなったか。今回は流石にダメかと思ったな」


 額の汗を拭って重たい息を吐くカエデ。


「ん? なんだ? こいつこの前のやつとは別のやつなのか。それならお友達がなんでやられたかくらい情報を共有しとくんだったな。ほうれんそうは基本だぞ、ハッハッハ」


 すっかり枯れ果てた大樹を見上げてマキナ教授が笑っている。

 そんな彼女を不安げに見るカエデ。


「そんなもの撒いちゃって大丈夫なのか……」

「ああ、心配はいらない。名前はハッタリだ。除草効果は大幅に高めてあるが毒性はせいぜい10分程度しかもたないからな。土地に悪影響が残ることもない!」


 得意げに胸を反らす教授である。


 そんな中でキリエッタが周囲を見回して怪訝な表情を浮かべていた。


「リューは……どこ行っちまったんだい?」


 彼女のその言葉に反応して仲間たちも辺りを見回す。

 だが、確かに赤い髪の男の姿がない。


 ─────────────────────────────


 戦場が一望できる小高い丘の上にその男は立っていた。

 青い肌に角を持つ面長の男……魔族ヴァルゼランパロドミナスだ。


「……おや、これはこれは」


 そのパロドミナスが呟き背後を振り返る。

 ……そこには、クリストファー・リューが立っていた。


「よく小生がここにいるとおわかりになりましたな」


「お前は絶対に近くに潜んで様子を窺っていると思っていた」


 落ち着いた声で言うリュー。

 だが彼はその静かな佇まいとは裏腹に空気が震えるほどの闘気を放っている。

 そんな触れれば切れそうなほどの緊迫感の中でも魔族は薄笑いを浮かべたままだ。


「主の救出なり仇討ちなりするつもりなら俺が相手になる」

「ンフフフ……そうですなぁ」


 笑う魔族が自分の顎を摩りながら小首を傾げた。

 自分がここからどうするべきか、それを決めかねているとでもいうように。


「正直そうしようかとも思っていたんですがね。ここへきて『まあいいか』と思ってしまいましてねえ」

「………………」


 おどけた調子で肩をすくめたパロドミナス。

 リューは警戒を解かず相手を窺っている。


「だってねえ……小生もう千年以上も忠実にあの方にお仕えしてきたのですよ。そろそろ自由になりたい。好きにしたいと思ったっていいじゃないですか、ねえ? そりゃ勝ってお元気なら引き続きかしずくのもやぶさかではありませんが……」


 そこでパロドミナスは瞳を細めた。

 赤い瞳が冷たい輝きを放つ。


「負けちゃってあの有様なんですから」


 そのセリフにははっきりと嘲りの色が滲んでいる。


「元々小生、魔族ヴァルゼランの『何かといえば暴力』という生き方はどうにも苦手でして……。その点この世界の皆様は素晴らしいですな。小生千年近くも人に交じって暮らしてきてこの世界がすっかり気に入ってしまいましたよ。きっと……人類みなさんとは上手くやっていけると思いますよ」


 言葉の上では友好的だが、その実パロドミナスは内心を隠そうともしていない。

 見下している。先ほど己の主に対してもそうであったように。

 この男は内心で自分以外の全てを見下している。嘲笑っている。

 そして、もう一つリューが気付いたことがある。


 自分は今目の前にパロドミナスを見ているが……。

 本当は


「おや? 周囲を気にし始めましたな。……ンフフフフ、お見事。その通り」


 リューの鋭敏な感覚を褒める魔族。

 この時ばかりはその言葉に嘲るような響きはなかった。


「小生の二つ名は『惑わせるもの』 能力は『幻覚』と『錯覚』です。初めてお会いした時の姿も小生は別に化けていたわけではありません。ただ小生の姿を見た者がハインツ氏を見たものと錯覚して頂いていたのですよ」


 人差し指を立てて芝居がかった仕草でパロドミナスが解説する。


「本当の小生はここではない場所にいます。あなたの強さは骨身に染みていますからね」


 そして魔族は慇懃に大きく一礼した。


「ではこれにて失礼致しましょうか。いずれまたどこかでお会いすることもあるかもしれません」


 蜃気楼のようにパロドミナスの姿が揺らぎ虚空に溶けるように消えていく。


「……その時はどうぞお手柔らかに。ンフフフフフ」


 その笑い声の余韻が風の中に消えた時そこには無言で佇むリューだけが残されていた。


 ─────────────────────────────


 晴れ渡る空の下、一台の乗合馬車が街道を進む。

 乗っているのはほとんどが獣人や半獣人たちである。

 全員最近できたばかりの新しい街に向かう途中であった。


「太っ腹だよなあ。農地を貸してくれて、三年真面目に耕作やったらその土地をくれるってんだからよぉ」


 旅装の大柄な熊の獣人が感慨深げに言う。

 すると隣に座っていた犬の耳を頭部に持つ半獣人がうなずいた。


「いやまったくだ。俺はなんとしても五年頑張ってフィロネシスの国籍を貰うぜ」


 希望に胸を膨らませて彼らは新天地を目指す。

 そんな彼らの目指している街は……。


 なにやら「右町長」「左町長」と呼ばれている二つの頭を持つぬいぐるみみたいな生き物が治めているらしい。

 そんな噂があった。


 ─────────────────────────────


「なァにぃぃぃぃ!! またどっか行っただと!!??」


 目を剥いて振り返ったメイヤーに肩をすくめて応じるキリエッタだ。

 とある建設途中の建物の前での事である。


「どうするんだ!? これは!! 新店舗!! 折角私がラーメン屋を作ってやったというのに!!!」

「いや本人に黙って作るからだろ……」


 ため息交じりに言うカエデは旅装であった。


「今回は追っかけんのかい?」

「ああ。ほっとくとまたどんな変な事件に巻き込まれてるかわからないからな……」


 キリエッタの問いにうなずくカエデ。

 そんな彼女を飛竜に跨ったルクシオンが手招きしている。

「早く乗れ」という事だ。


「まあ、落ち着いたら便りを寄越しな」


 苦笑してそんな二人を見送るキリエッタであった。


 ─────────────────────────────


 がたん、と座席が揺れてうたた寝をしていたクリスティンが飛び起きる。


「ふやっ!? な、なにごとれすか……」


 周囲を見回し自身が車上の人であった事を思い出したクリス。


「……よだれが出ているぞ」


 そんな彼女に正面に座っているリューが言う。


「あわわわ……これはまた、お恥ずかしい所を……」


 慌ててハンカチで口元を拭ったクリスティン。

 そしてふと彼女は車窓から流れる外の景色に目をやった。


「とんでもなく長い寄り道になっちゃいましたね」

「ああ」


 いつもの調子で端的に答えてリューはうなずいた。


「ラーメンのない国に行くと碌な目に遭わないな」


 割と滅茶苦茶なことを言っているリューに小さくクリスが苦笑した。

 彼女の脳裏をフィロネシスに来てからの様々な出来事が泡のように浮かんでは消えていく。


「でも……楽しかったですね」


「……………」


 クリスティンの顔を改めて見たリュー。

 はにかむ彼女は本気で言っているようだ。

 この世界の外側に弾き出されて五百年以上も彷徨った彼女が……。


「そうか」


 結局、そう答えるに留めた。

 正直自分はこの二年、いなくなったクリスティンの事がずっと気がかりでそれしかなかったのだが。


 だが、それでも……。


 一番大変な目に遭ったはずのクリスティンがそう言って笑うのであれば。

 きっと、それでよかったのだろう。


「次の土地では何が待っているのか、楽しみですね」


 流れゆく景色を見て彼女は目を輝かせている。

 まだ見ぬ世界に夢を見て。


「……そうだな」


 だから自分も旅に望みを持つ事ができるのだとリューは思った。 

 

 希望とは強さだ。

 絶望が容易く人の心を侵し死に至らしめるように希望は限りないエネルギーとなる。

 ……だから彼女は強いのだ。

 自分もこの旅路に夢を見るのもいいのかもしれない。

 そう赤い髪の男は思った。


「未来に希望を持ててえらい!!!!」


 そして何故か蒸気機関車に大型蒸気バイクで並走しているドルガン王が窓の外で叫んでいた。



 ─── 完 ───

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クリスとクリスの突撃!大迷宮!! ~マフィアの大ボスをうっかりブッ〇したら地下迷宮の冒険をするはめになった話~ 八葉 @hachiyou1995

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