心の奥底に潜む恐怖と対峙する、冷や汗必至の作品

現代人の生の悲鳴を、ホラーという装いで見事に昇華させた作品である。

主人公が抱える日々の苛立ちと、それを秘密の手帳に記すことで得る一時の安堵は、読者の心の琴線に触れる。

この手帳が持つ不思議な力は、単なるストレスのはけ口を超え、読者に対して、自身の心の闇に潜むものと向き合わせる。

一筆一筆に込められた意味は深く、その結果としての超自然的な出来事は、心理的な恐怖を煽り、私たちが抱える日常の不安を形象化する。

この物語は、ただ怖がらせるためだけではなく、私たちが日々対峙している内面の葛藤を巧みに描き出しており、小説としての価値は計り知れない。

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