エピローグ
エピローグ
特殊部隊はその爆発現場に急行していた。消防が火災を消した後、現場を引き取り、汚染物が残されていないか捜索を行なっていた。
現場は強力な爆発物が使われたようで、生物の残骸と思われる肉の塊を拾い集めるという作業になっていた。
そして、防護服を着込んだ特殊部隊員の一人がソーセージのような肉片を発見する。それをトングで摘み、袋に入れようとしたところ、1羽のトンビがそれをひったくって行った。予期しない突然のことだった。
複数の部隊員は至急発砲し、鳥を狙ったが銃弾は当たらなかった。
⚪︎
かつてタツヤの体だったものが目を覚ました。自分はいったいどうなってしまったのだろうと、辺りを見渡すと、空を飛んでいた。
どうやら肉片になって、鳥にくわえられているらしい。
彼はもう自分がどうすることもできない体になってしまった事を悟る。
すると急に悲しくなってしまった。
彼にとって生を受けてから初めての感情かもしれない。
(こんなのってないよ。あんまりだよ)
自分がたった一塊の肉片になってしまったことを悟り、彼はさらに悲しんだ。
今の彼はおそらく下半身に付いていたアレだろう。
(この体はなんだい。‥酷いよ。酷い。こんなの惨めじゃないか)
彼は鳥の口の中でシクシクと泣いていた。
(‥僕は人間なんだ。‥‥人間だったんだ)
あまりに惨めな自分の姿に悲しみがますます大きくなってゆく。‥‥のだと思われたが、彼はあることに気づく。
自分はもう人間の形をしていないし、だったらいいんじゃないか、と。
その途端、先ほどまでの悲嘆に暮れ、嘆き悲しむ様が嘘だったかのように上機嫌に変わる。
(ねぇねぇ、君って、もしかして女の子? だったらいいなー)
彼は鳥に話しかけて、大空の中、ナンパを始めたのだった。
完
君に首ったけ チェケらっぱー @nou888
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