第13話 エピローグ 

カランカラーン♪

BarKINGの入口が開いて、岸くんが入ってきた。

「あ。岸くん、いらっしゃい」


カウンターの中にはいつものように紫音が、そしてカウンター席には僕が座って、岸くんを出迎える。


「おう!ビールくれ。喉が渇いた。今日は一日歩き通しだよ。あー疲れた。」

岸くんがカウンターの席に座った。

「はい、岸くん。ビールどうぞ。」

紫音が岸くんの前にビールを置くなり、岸くんはそのビールを煽って、

「…っくー!!沁みるねぇ。生き返った!!」

といった。

「おー!!いい飲みっぷり。お仕事お疲れさまでした。」

僕は飲んでいたウイスキーを持ち上げて、岸くんをねぎらった。


「そうだ、あの後長野県警から電話があってな。白洲さんは一命をとりとめたらしい。ただ、癌のほうが進行が早くて入院加療が必要で、犯人隠匿の罪ぐらいだから、略式起訴になりそうだって。やっぱり、あの夜に宇田君と香月さんの話をこっそり聞いてしまったみたいでさ。宇田君を止めようとしてたらしいんだけど間に合わなかったようで、部屋を見に行った時には本庄が死んでいたらしい。自殺に見せかけようとしたけど、物音がして香川さんが来たからあわてて部屋を出たようだよ。

紫音と迅の推理通りだね。

あと、宇田君と香川さんはいま捜査中で、近く起訴されるみたいだ。

それから、宇田君のお姉さん。意識を取り戻したらしいんだ。ただ事故の事はまだきちんと思い出せないようなんだけど、お医者さんはもう大丈夫だろうって言ってるっていう話だ。」

宇田君のお姉さんが意識を取り戻したということは、ひき逃げの件もこの後また進展するんだろうな。

でも、被疑者死亡になるのか。できれば手塚も本庄も、きちんと罪を償ってほしかったな。


「そっか。宇田くんのお姉さんの意識が戻っただけでも良かったよね。」



「うん、あと香川さんの結婚は完全に破談になったっていう話だよ。香川さんのお母さんが、今回の事で美月さんの苦しみに気づいたらしく、これからは美月さんと一緒に支えあっていきたいって言ってるみたい。

でも、遅すぎるよな。美月さんはお母さんとも縁を切りたいみたいなんだってさ。

まぁでもさ。宇田君と香川さん、お似合いな感じだったからなぁって思ってさ。罪を償って二人とも、もう一度人生をきちんとやり直せたらいいのになぁ、と思うよ。」

岸くんは今回の事件の後、何回か長野県警に呼び出されていたようで、その時に二人にも面会していたといっていた。

僕らも二人の様子を岸くんがら聞いていたので、2人が人生をやり直せるといいと思った。

「そうだね。あの二人なら、きっとやり直すことができるんじゃないかな。」


しかし、2人を気にかけている岸くんって、本当に優しいなぁと思う。


外はもうすでに桜が咲いて、春の暖かい風が吹く季節になった。

あの事件から約1か月。新しい季節が巡ってきた。

「あ、そうだ。桜ちゃんからこの前メールが来てたんだけど。

新学期になって、クラス替えもあってまた学校に行くようになったんだって。先生が変わったらしいよ。

いまは、クラスのみんなと色々あるけど仲良くやってますってメール来てたよ。」

すると岸くんが、

「また、六花荘に今度は殺人事件なしで、遊びに行こうぜ。」

「そうだね。新緑の季節なんかに行くのも気持ちよさそうだよね。」

「よし、じゃぁ次の旅行の計画でも立てますか!!」

僕らの平和な日常は、きっといつもこんな感じだ。



 

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六花荘殺人事件ーTheDetectiveKP KPenguin5 (筆吟🐧) @Aipenguin

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