第28話 九角武丸、アンカグワー復活を阻止する。その2


「アサルトダッシュ! うえっ、斬った感触が気持ち悪っ!?」


 ファーストアタックとして平突きの構えで突撃スキル攻撃を行うと、腐肉の王の体を斬るとぐにゃっとした感触が伝わり、悪寒が全身に走る。


「グルオオオオン!」

「あぶねっ! 怨霊弾! バッシュ!!」


 腐肉の王は攻撃を受けながらも唸り声をあげながら、手がモーニンスターになってる腕で横薙ぎしてくる。

 俺はそれをしゃがんで回避して怨霊弾でスリップダメージを与えつつ、腐肉の王膝に向かって攻撃スキルを当てる。


「ガアアアアッ!」

「よっ! 旋風撃!!」


 今度はモーニンスターになってる腕を振り下ろして叩きつけてくるので、スライディングで腐肉の王の股の間を抜けて膝裏を範囲攻撃スキルで斬りつける。


 


「爆破!」

「「ワン!」」


 更にラウラが魔法攻撃スキルを、石の狛犬達が足に噛みつく。


「グルルルル!!」

「ギャンッ!!」


 腐肉の王はダメージを受けながらも、噛みついてくる石の狛犬達を蹴り飛ばし、今度は松明になっている左腕を地面に突き刺す。


「うおっ!?」

「きゃっ!?」


 どういう原理かわからないが、腐肉の王の攻撃であちこちの地面から炎が吹き出してくる。

 予兆として地面が赤色になって盛り上がるので、炎が吹き出すまでに移動すれば回避できるが、かなりの広範囲に渡って炎が吹き出して回避しにくい。


「ぐっ!?」

「あぐっ!」

「キャン!!」


 回避し損ねて吹き出す炎に身を焼かれるとかなりのダメージを受ける。

 直撃を受けた二匹の狛犬は砂のように体が崩れて消えていく。


「旋風撃!!」


 吹き出す炎で腐肉の王に近づけないが、何とか範囲攻撃スキル内に腐肉の王をとらえて反撃する。


「マスヒール! ライフシード!!」


 ラウラは範囲回復を行い、さらに俺に持続回復スキルを付与していく。


「アサルトダッシュ! ノックバックストライク!!」

「グウウウウン!!」


 腐肉の王にダメージを与え続け、腐肉の王も両手の武器を駆使して俺やラウラにダメージを与えていく。


 戦闘は一進一退よりだが、ラウラの回復スキルのお陰で徐々にこちらに形勢が傾き始める。


(あと少しでアルティメットゲージが貯まる!)


 ちらりと視界の端に表示されるアルティメットスキルを発動するのに必要なゲージに目を向け、あと数回スキルでダメージを与えればゲージが貯まる。


「旋風撃! バッシュ!」


 スタミナが続く限りスキルを連続で発動させてダメージを与えてアルティメットゲージをチャージしていく。


「クオオオンン!」

「やべっ! ラウラっ、横に飛べっ!!」

「え? う、うん!!」


 腐肉の王が左腕の松明をこちらに向けると、赤い射線が地面に表示される。

 俺はラウラに向かって叫びながら横に飛ぶと同時に、腐肉の王の左腕の松明から業火が噴射されて地面を焼く。


「ウッソだろ」

「ボスのアルティメットスキルかな?」


 業火が通りすぎたエリアは地面が焼かれて所々火が燻っており、パチパチと火花の音が聞こえる。


「でも武丸ちゃん、チャンスだよ!」


 ラウラが腐肉の王を指差さすので視線を向けると、アルティメットスキルの反動か膝をついて息切れしたようにその場に蹲っている。


「だなっ! フェイタルブロウ!」

「爆破!」

「グロロロローッ!!」


 俺はここぞとばかりにアルティメットスキルを撃ち込み、ラウラも魔法範囲スキルで腐肉の王にダメージを与える。


「ウゴッ………オボ! ウゴオオオオオーッ!!」


 腐肉の王は肉体を維持できなくなったのか、体が崩れ始め、千切落ちた左腕の松明の火が引火して火達磨になる。


て「ギャオオオオン!!」

「ギュアアアアアーッ!!」


 遥か上空で行われていた光と闇の龍達の戦いも、光の龍が闇の龍の顔に噛みついてゼロ距離ブレスで焼き尽くして決着がついた。


 闇の龍を倒した光の龍はそのまま天を駆け回り、雷雲を蹴散らしていくと天に登って消えていった。


「おーい! お前達無事かー?」


 光の龍が消えるのと同時に明智官兵衛が率いる武者集団がやってくる。


「兵をかき集めて応援にきたのだが………どうやら手間取りすぎて救援が遅すぎたな………すまぬ」


 明智官兵衛は周囲をみて状況を理解したのか兜を脱いで頭を下げる。


「お前達のお陰でこの島は救われ、領主は扶桑同盟に加わることを約束してくれた。改めて礼を言わせてくれ。本来ならもっと与えたいが、今はこれが限界だ」


 明智官兵衛の話を聞いているとクエストが完了し、嵐の太刀と言う名前の刀を報酬に貰う。

 それと同時に11レベルにレベルアップした。


「お前達さえ良ければ我々に同行してニラカイナ島へ一緒に来ないか? 我らが王芦名義輝様は優秀な人材を求めている。仕官に興味があるなら話を通しておくぞ?」

「興味はあるな」

「なら共に行こう。港にはお前達が修理を鉄だった船がきている。それに乗って出発だ」


 次のクエスト目的地はニラカイナ島と言う場所で船で移動するようだ。

 ボスモンスターからドロップ品を回収後、俺とラウラは港に向かう前に、アコンの街でレベルアップ作業や荷物の整理しに行く。


「この島の英雄だ!」

「新しい英雄に乾杯!」

「領主の娘さんを助けてくれてありがとう!」


 アコンの街中を馬で移動していると、道行くNPC達から称賛を受ける。


「なんで誉められるんだ?」

「このゲームのシステムでクエストをクリアするとそれが反映されて、NPC達がリアクションしてくれるんだよ。因みに非道的な行動だと石を投げられたりする」

「へー、そんな細部までこだわってるんだ」


 アコンの街のNPC達の反応に戸惑う俺にラウラがシステムを教えてくれる。


「色々手に入れたけど、全部分解して材料になったな」

「低レベル帯の装備は店売りしても雀の涙程度のお金にしかならないから、分解して材料にしてデイリー生産クエスト受けた方がいいかも」


 そんなNPC達の賛辞を受けながら、手に入れたけど使わない装備などを生産施設で分解して生産材料に変えていく。


「デイリー生産クエストってなんだ?」

「生産スキルにあわせて物作って納品したら経験値とお金と材料やランダムで設計図がもらえるクエストがあるの」

「ここでは見かけないな」

「各勢力の次のクエスト地点から受けられるよ。扶桑同盟の場合はニラカイナ島からだね」


 ラウラからデイリー生産クエストなるものの話を聞いた俺は何処で受けられるかマップを表示して探す。


「なら、ニラカイナ島についたらそのクエスト早速探すか。受けて損はないだろうし」

「うん!」


 荷物整理を終えた俺とラウラはクエスト目的地である港に向かう。


「ようこそ、島の英雄! 貴方を船に乗せれて光栄だ」


 ニラカイナ島に向かう船に乗船すると、あの柴犬の獣人の船員が出迎えてくれる。


「問題がなければすぐに出発するぞ。ああ、運賃はいらない。船長から命の恩人からは金をとるなといわれてるからな」

「命の恩人?」

「お前達がマジムンの陰謀を阻止しなきゃ俺達は海の藻屑だった。いつでも出向できるがどうする?」

「ラウラはこの島でやることあったか?」

「ううん、ないよ。武丸ちゃんは?」

「俺もないからいいか。出発する」


 やり残しがないかラウラ聞いてお互いにないことを確認すると、船は錨を上げて帆を張って出港する。


「これは風情があるな」


 晴天の空の下、太陽の光を反射する海を見下ろし潮風を身体で受ける。


「武丸ちゃん! イルカと人魚!!」


 同じく海原をみていたラウラが興奮したように俺の肩を叩いて、海を指差す。


 そちらに視線を向けると、イルカ達と競争するように上半身が人間の女性、下半身が魚の人魚達が泳いでおり、こちらに気づいた人魚が手を振る。


 何ともファンタジーでメルヘンチックな船旅である。


「もうすぐニラカイナ島のウンテンに着くぞー!」


 船員の一人が叫ぶと、船の進行方向の地平線から灯台とアコンの街よりも大きな港町が姿を表した。






──キャラクターデータ──


名前:九角武丸

種族:人間

キャラクターレベル:11レベル

クラス:ファイター14レベル

スタミナポイント:14レベル


パッシブスキル

刀マスタリー8レベル:武器種別刀を装備すると物理ダメージボーナス


豪腕:両手武器物理ダメージボーナス


獅子心:物理ダメージボーナス


剣禅一如:物理クリティカルボーナス


調薬:回復アイテムなどを作れる。


鍛冶:武器、重装防具製造可能


服飾:軽装防具製造可能


木工:魔法の杖、弓、盾、家具製造可能


装飾:アクセサリー製造可能


説得:クエストの特別な選択肢を選べる


アクティブスキル

バッシュ5レベル:単体物理ダメージ


旋風撃5レベル:範囲物理ダメージ


アサルトダッシュ2レベル:敵に突撃する単体物理ダメージ


ノックバックストライク2レベル:対象を吹き飛ばす単体物理ダメージ、吹き飛ばした先に障害物などがあると追加ダメージ


アルティメットスキル

フェイタルブロウ:クリティカル扱いで対象単体に防御無視で大ダメージを与える。



名前:ラウラ

種族:人間

キャラクターレベル:11レベル

クラス:魔法使い14レベル

マジックポイント:14レベル


パッシブスキル

調薬:回復アイテムなどを作れる


鍛冶:武器、重装防具製造可能。


服飾:軽装防具製造可能


木工:魔法の杖、弓、盾、家具製造可能


装飾:アクセサリー製造可能


回復量修練:回復スキルの回復量ボーナス


詠唱時間短縮:魔法スキルの発動時間短縮


説得:クエストの特別な選択肢を選べる


アクティブスキル

治癒の光10レベル:単体HP回復


爆破2レベル:範囲魔法ダメージ


ブレス2レベル:単体魔法防御力ボーナス


守護結界2レベル:単体物理防御力ボーナス


魔力の刃2レベル:単体物理ダメージボーナス


マスヒール2レベル:範囲HP回復


ライフシード3レベル:単体に一定時間HP自動回復


サモンモンスター2レベル:味方モンスターを召喚して戦わせる。


アルティメットスキル

大復活:範囲内の戦闘不能になったプレイヤー全員を復活させる。

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俺はVRMMOでもう一度剣を掴む! パクリ田盗作 @syuri8

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