第4話「ダイナマイト」

 結婚後も1ミリの衰えも見せないワタシの愛は、割りと頻繁に昆布を辟易とさせる。


 愛が重すぎるとまではっきり本人から言われるが、これについてはワタシに非はない。

 昆布が可愛すぎるのだ。


 毎朝昆布の顔を見るたびに――今日も可愛いね。

 一秒二秒も目が合えば――チューする?


 恐らく年間で少なくとも一日二回の七百回はこの提案を行う。千ほどもしているかも知れない。

 そこそこ断られるゆえその結果の成功率はそう高くはないが、それでも不満な率ではない。昆布も昆布なりに頑張ってくれている。本当に良いコだ。



 別パターンのワタシのウザさを披露しよう。


 朝、彼女が着替えを始めた事に気付くと、ワタシは弁当を作る手を止めていそいそと近付きそれを眺める。


 近付いてこなくて良いと言われるも、「嫁の乳に興味を失っちゃ終わりですよ」と真顔で応じる。


 この言葉に昆布は、なるほど一理ある、と意外にも理解を示す。


 ただし、『踊り子さんに手を触れてはいけません!』と付け加えて着替えを続ける。


 クールな見た目でこれが言える昆布。そりゃもう首っ丈ですよワタシは。



 第一子も無事に産まれ、彼女の愛を独り占めする事は叶わなくなった。

 第二子もさらに産まれ、もはや独り占めどころではない。


 もちろんそれで良い。

 そんな事に不満を申し立てればそれこそ大変な事が待ち受けてしまう。


 ただでさえ酷すぎる溺愛がウザさ百パーセントなのに、だ。


 書いてて自分で辛くなるが、離婚もされずによくここまで歩んでこれたものだ。

 よくぞこれ程にウザいワタシと一緒にいてくれたと感謝が止まない。




 余談だが、最近彼女はを始めた。


 韓国の七人組アイドルグループをYouTubeで観る程度の緩めの推し活ではあるが、当初はそれを見て若干のヤキモチを焼いていたのが否めない。


 けれども、仕事に育児にウザい旦那にと基本的に疲れ果てている彼女が再び輝き出したのだ。


 推し活により心に潤いが湧いたらしい。これは大変良い。


 輝く昆布に併せてワタシのウザさも増す訳だが、それでも心に余裕のあるらしい昆布の反応はずいぶんと軟化した様に思う。


 だからワタシも一緒んなって観てる。

 その結果、七人のうち五人は完全に見分けがつくようになりました。


 ……なぜかグ◯とテ◯がテレコになっちゃうんですよねぇ……



 推し活でやや活力を取り戻した昆布だが、対してワタシはずっと元気。


 だってワタシは妻を推し続けていますから!

 今後も世界一可愛い彼女を推し続けることをここに誓います!




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妻が好き過ぎてハマハマ2023 ハマハマ @hamahamanji

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