あとがき

 本作を最後までお読みくださいまして誠にありがとうございます。


 プロローグにも書いたとおり、本作は小説家になろう様にて2023年6月に公開した作品のリライト版です。なろう様版では、贅沢な装備と食料があれば1人でも楽々生き残れるのではないか、などという構想で書き始めたものの、中途半端なエンディングとなってしまいました。

 誠にありがたいことに、読者様からもエンディングの中途半端さに対してご指摘を頂きましたので、心に留めていました。


 そんなある日、次のネタ探しで宇宙関係のサイトを閲覧していたところ、本作同様に突然、ボイジャーのことを思い出したのです。地球外知的生命に向けたメッセージ、なんともロマンのある話です。

 私は作品中で人類を滅ぼしてしまったんですけれども、人は何のために生きるのかを考えて、次に現れる知的生物に人類の文化文明を伝えることができるのではないか、そのために主人公をたった一人で生き残らせたのだ、とこじつけたわけです。

 ただし、哺乳類が絶滅しているので--これも私が絶滅させたのですが--、後継者の登場は300万年後としました。これが早いのか遅いのか、意見の分かれるところだとは思いますが。


 さて、後継者に送るメッセージの記録方法ですが、300万年経っても残るものって、地層とか、岩石とか、化石ぐらいしか思いつかなかったんですけど、無理を承知でCDなどの記録媒体で大量の情報を残そうと思いました。

 本作の主人公は私と同じく情報工学を修めている設定です。そして探査機とは異なり、未来へのメッセージは重量制限がありません。保管場所と保管方法を工夫すればなんとかなる、やらないよりマシ、ぐらいの感じで主人公には挑戦してもらっています。


 DVDやブルーレイディスクを保存できれば莫大な情報を残せますが、読み出しは難しいです。一般の方はディスクにデータが整然と記録されているとお思いかも知れませんが、実際には厳格な記録フォーマットと難しい誤り訂正符号などを使って記録されています。媒体から0,1が読み出せても、フォーマットと符号が解らないと内容を解釈できないのです。

 エピローグで学者が解説していますが、誤り訂正符号とは、ちょっとぐらい0、1が入れ替わっても、どちらか判別できないところがあっても、ちゃんと正しく読み出せるように、元々のデータを数学的に置き換える方法のことです。デジタルの通信や記録で広く使われています。今、読者がこのあとがきをオンラインで読んでいるならば、サーバから電線や光ファイバーや電波で送られてきた誤り訂正符号を復号して画面表示しているはずです。

 主人公が収集したDVDやブルーレイディスクなど、複雑な仕組みの記録媒体については、比較的単純なCD-Rにそれらの規格書を収録しておけば、時間はかかっても後継者がいずれ読めるようになるでしょう。

 なので、最初のCD-Rが読めるように、その読み出し方を解説する必要があります。最初のCD-Rが読めれば、単純なビットマップ画像として収録した子供向け英語絵本から英語と数学、文字コードなどを順次学んでもらえるという構想です。


 そしてメディア保管の金属箱と、最低限の数学とリードソロモン積符号の解説を刻印した金属板を作ることにしました。腐食に強い金属と言えばやはり金です。土肥温泉には家族旅行で行ったことがあり、黄金館にも坑道跡にも訪れたことがありましたので、これを使おうというアイディアはすぐに出ました。

 しかし、私は異文化の人向けにそんな解説を書いたことが実際にはないので、一体何枚の板が必要なのか見当も付きません。しかも、劣化を考慮して3セット作る設定です。金250kgで足りるのか? ま、フィクションなのでご容赦ください。

 また、金属の加工についても、私は機械工学概論の実習で溶接とか切削をした程度の経験しかありません。あと、中学生の時に美術で銅板で何か作ったような記憶がうっすら……

 その程度の知識なので詳しく描写できませんでした。これも申し訳ないです。


 話が前後しますが、地震や津波で道路が破壊されている設定なので、どうやって土肥まで行けば良いのか、地図を見ながら自分で作った設定に途方に暮れてしまいました。

 そこで、カヤックを見つけたということにして、主人公には入門書とDVDで操作方法を調べてもらい、練習を十分積んでもらって航海に出てもらいました。持っていく資料、資材、工具、食料などを考えると運びきれない気もします。なかなか強引な展開なので、読者も呆れたことでしょう。申し訳ありません。




 さて、後継者には昭和初期ぐらいの文明段階で発見してもらうことにしました。明治には結構遺跡を破壊してしまっているので、もうちょっと慎重になった頃にちょうど見つけたことにしました。

 そして300万年後の土肥は、フィリピン海プレートの北上によって土地が隆起して、標高1,000mの山になっていることにしました。山の中ならば文明の初期段階で発見されづらいだろうと考えたのです。

 もっとも、そんなに隆起したら坑道が潰れるんじゃないか、と思いましたが、フィクションですから……




 ところで、本作は映像化したら結構面白いのではないかと思いまして、「第9回カクヨムWeb小説コンテスト」のエンタメ総合部門に応募しています。

 例えばドラマにして、本編とは別に毎回ウェアやグッズの機能性能を紹介したら、ショップやメーカーさんがスポンサーになってくださるのではないでしょうか? また、専門家がサバイバル術や災害について解説したら、懸念される関東大震災、富士山噴火、東海・東南海・南海地震への対策を呼びかけることもできると思います。

 具体的な地名も出ているので自治体も協力して頂けると思いますし。


 しかし、ランキングが低いので、このままでは審査員様に読んで頂けない可能性があります。


 そこで、本作を最後までお読みくださった方にお願いです。

 ここまでお読みくださったのですから、今更取るに足らない、などという酷評はないですよね? ご評価ならびにレビューをお願いします。

 また、口コミなど、アピールにご協力ください。


 人付き合いが苦手で、営業も下手くそな作者に、何卒愛の手を!


 それとは別に、率直なご感想やご指摘、ご批判も頂けるとありがたいです。

 繰り返しになりますが、本作はなろう様で頂いた読者様からのご意見を参考にリライトしております。なろう様版では4章で主人公が永眠しております。5章とエピローグはなろう様版にはなかったものです。

 この部分だけでも作品の持つ意味がまるで違うと思います。この変化がご意見くださった読者様の意向に沿ったものかどうかは解りませんが、私はとても感謝しております。

 読者が作者を育てる。これこそWeb小説の最大の醍醐味だと思います。どうぞ、今後の私の成長のためにも、ご意見をよろしくお願い致します。




 本作は様々な災害を描写しております。実際に災害に遭った経験をお持ちの方には不快かも知れません。お詫びいたします。また、本作投稿期間中に発生した令和6年能登半島地震で被災された皆様、ならびに本作投稿期間中に発生した航空機事故の被害に遭われた皆様にお見舞い申し上げます。

 地震に関しては日本に安全な場所はありません。読者の皆様には常にご注意いただきたいと思います。

 ちなみに私は本稿執筆時点でオフィスが東京湾岸にある企業の案件に従事しておりますが、オフィスを訪れたのは最初の1週間だけで、あとは多摩ニュータウンからリモートで就業しております。

 遠からず関東大震災が来ると思っていますので、皇居より東側にはなるべく行かないことにしています。皇居より西側ならば、最初の破壊で生き残れたら歩いて帰れます。

 実際、東日本大震災の時には皇居の北側から東府中まで歩きました。東府中にたどり着いたところで京王線が動いたので乗車して帰れたのです。

 一方で、富士山噴火に対する備えが不十分だと自覚しているので、いろいろ検討しています。

 本作が様々な災害に対する注意喚起になれば幸いです。




 なお、私は『面白かったね』というだけではなく、自分だったらどうしようなどと考えるきっかけとなる作品が好きです。本作がそんな作品に仕上がっていれば良いのですが……


 最後になりましたが、ここまでお読みくださった読者に心より御礼申し上げます。

 どうもありがとうございました。

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【完結】Lonery Mission ー たった1人になってしまったら、あなたは何ができますか⁈ 浅間 数馬 @hash10mo10

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