反出生主義者たる俺の理想は、ここに最悪のカタチで成就した・・・

(※ネタバレの度合いが、とても強いので注意)

人間も動物も、生物学的には大した違いは無いのだろう。
人語や文化、道具類からなる文明という差異はあれど。
本作品世界では(拷問以外の)文化も無く、ますます差は無くなった。

これじゃロボットやAIが支配したほうがマシだろうし、平等の4騎士(戦争、統治機構の崩壊、大疫病、革命)でもなければ、この悪夢は消えないだろう。

ラストで「人間の尊厳」をこれでもか!と示されるが、その結果が・・・
俺の理想とする「反出生主義」の実現に近い出来事とは、皮肉である。
しかも、まだ地球上には生物が生き残っているし。
こんな未来は、どんな思想的立場でも、納得できないだろう。

でもこれは、過去に人類が繰り返した「負の歴史の縮図」としても読めるし。
過去・現在・未来を、人間であれば逃れられない「罪業の杭」が貫いている。

その他のおすすめレビュー

殉教@公共の不利益さんの他のおすすめレビュー386