閉店を控えた街の本屋さんと、そこへ集う人々を描いたオムニバス式の物語です。
短いエピソードの中に、それぞれの事情や思いが深く感じられ、ひとりひとりが色んなものを背負って生きているのが静かに伝わってきます。
オムニバスで語られていたことが少しずつ繋がり、最後に大きな希望となって実を結ぶのが素晴らしいです。閉店という物事の終わりをきっかけにして、止まっていたものが動き出すような、新しいはじまりのような前向きな空気を感じます。
今は大型店やネットで本が簡単に買えます。でも街角の本屋さんというのは、お店だけではない、なにか大事な役割を持っているのではないか。
そういう風に思える、人間の温かみを感じる物語でした。