第3話 ビデオ通話をしてみたら?
「もしもし、はじめまして。ワールドエンドミスティアカデミーの学園長です。きみがしーちゃんだね? 突然ごめんね」
「え? 学園長さん? え?」
「あはは。びっくりしているところに悪いけど、ちょっと伝えたいことがあるからソフィーに通話してもらったんだ。画面の右上に新しいマークが付いているよね。それを押してくれるかな」
「あ、はい」
ソフィーちゃんからの通話に出たら、いきなり学園長が話しかけてきた。びっくりしている間に言われた通り、通話画面の右上を見ると、右向きの三角ボタンが点滅している。そのサインを指先でつついてみると、吹き出しが現れた。
『おめでとうございます。二人の通話レベルが上がり、ビデオ通話が使えるようになりました。ソフィーにビデオ通話をリクエストしますか?』
おお、こんな機能が。面白いじゃん。迷わず『はい』をタップすると、
『ソフィーにビデオ通話をリクエストしました。応答を待っています』
とメッセージが出て、すぐに画面が切り替わった。横長のスクリーンが開いたので、スマホを横向きにすると、画面いっぱいに二人の顔が映った。
アプリの画面で見ていた通りのソフィーちゃんと、その横から男の人が覗き込んでいる。赤茶色の長い髪を後ろでくくり、眼鏡をかけている。ほっそりした顎のイケメンダンディーなこの人が学園長さんかな? その男の人が話しかけてきた。
「はじめまして、君がしーちゃんだね。ソフィーから話は聞いているよ。君が想像している通り、僕達の世界は君のいる世界とは違う。簡単に行き来することは出来ないんだけど、僕の魔法なら君をこの世界に連れてくることが出来るよ。今から説明するからよく聞いてね」
ぽっかーんとしている間に、学園長さんがどんどん話を進めていく。学園長さんが魔法で
「大丈夫。僕にまかせなさい!」
学園長さんはとっても嬉しそうに言う。それにかぶせるように、ソフィーちゃんがくりくりおめめを少しうるうるさせながら、
「しーちゃん。わたし、しーちゃんが心配なの。お願い、来てくれない?」
と頼んできた。こんな顔されたら言うしかないでしょう!
「わかった、行くよ」
「ほんと? しーちゃんに会えるのね」
満面の笑みを浮かべられたら、まあいっか、と思ってしまった。
通話を切ってから、思わずぼけーっとしてしまう。さっきの会話を思い出して……
「え? ちょっと待って? ……てことは、あたし本当に異世界転移しちゃうのーー!?」
思わず絶叫してしまい、またもや母さんに大目玉をくらった。とほほ。
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