その男子は、世界を器とする。

為義はとある白拍子と出会う。
鬼女と呼ばれる彼女の名は――玉藻。
やがて玉藻は懐妊する。
その男子の名は八郎。

後の、源為朝である。

父に疎まれ、母に捨てられた為朝。

この世には善なるものは一つもない。
人の好意や仏の慈悲などを信じるのは迷妄の最たるものである。

そう考えていた為朝は、傅役の重季によって少しずつ変わっていく。
やがて彼は、世界の広さを知り、人と出会い、仏の教えに触れる。
そして伝説の武士になり、母と対峙することになる……。

戦の高揚と虚しさを知り、理不尽に憤る。
九州に広く名を残す八郎為朝の伝説、ここに!

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