不遇な境遇で意思を失った令嬢が自分と愛を取り戻す

躾に厳しい義母と意地悪な義妹、義母の顔色を伺って愛情表現をしない父に囲まれ、エルフリーデが気の毒と思いつつも、全然自分の意見を口に出来ない彼女に最初は悶々としました。でも彼女はそこで終わらない。幼馴染で婚約者のギイも助けを出しますが、最終的には彼女が意思を強く持てるように変わるのが物語の鍵です。その過程も丁寧に描写されていて話にすんなりと入っていけました。

一方で義母の行く末はやるせなかったです。自分勝手な嫉妬心からギイから彼女への手紙や花を長年握りつぶしてたのは許せないですが、夫のエルフリーデの父も大概でした。再婚を決意した以上、妻との距離を縮める努力をしていたら、また違った家族の未来があったんじゃないのかなと思いました。異世界の貴族の話ですが、ステップファミリーの難しさも描写する良作品と感じました。