読後はとても温かい気持ちになる作品です。

つらい境遇にある人のために何かをしたいと書き始めた小説。
それを書いていたゆきは、志半ばで不慮の事故に遭い亡くなったものの、未完であることに未練を残しており、成仏できずに元住んでいた部屋で幽霊となっていた。
そこへやってきたアリサの力を借り、未完の作品を完成させる。
そして届けたかった人に――。そんな物語です。

面識もない遺族のために書き始め、幽霊になってもなお想い続けたゆき。
そんなゆきの想いを受け継ぎ、形にしたアリサ。
どちらの想いもあたたかく、最後の一文まで、あたたかいまま締めくくられます。

連日ニュースになった例の事件。
遺族の方への想いや願いを、こうして形にできることに、ただただ尊敬します。

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