最終話 発刊

その後の調整を終え、改めて天城·浜野·渡辺の共著「ユーモニクスの扉」が発刊された。

この時、天城の胸の内はドキドキしていた……。

作品が無事にできたのはいいが、果たして売れるのだろうか……?天城は周りには平然を装いながらも、心の内では緊張が止まらなかった…。

しかし天城の予想とは裏腹に、「ユーモニクスの扉」は売れていき、一ヶ月後には十万部を突破する売れ行きを見せた。これにより児童小説作品部は一応存続の危機を脱した。

沙奈部長はこのことを聞いて、少しホッとしていた。

「十万部売れた…、これで首の皮一枚で繋がったよ…。」

「そうですね、あの三人も喜んでいます。」

「これで共著に可能性を見出すことができた、これから三人には書き続けてもらわないとな…。」

沙奈部長は三人へ期待の気持ちを密かに秘めていた。







その日の午後六時、天城·浜野·渡辺は居酒屋で飲んでいた。「ユーモニクスの扉」の十万部突破をお祝いだ…。

「しかし、あの時は本当にヒヤヒヤしたよな〜」

「沙奈部長から聞かされて、共著にするって聞いた時はマジかって思ったし。」

「いろいろあったけど、まさか十万部を売ることになるとは思わなかったよ。」

「なぁ、ちょっと喋るの照れくさいけど…」

「なんだよ、もったいつけるなってば!」

照れる天城を浜野は急かした、そして天城は口を開いた。

「おれ、今まで一人でがんばってきたと思いこんでいた。辛いことがあっても他人に話せずに、自分で抱え込んでいた…。だけど二人と共著してみて気づいたんだ、一人より二人でがんばればよりよい作品を作れることに…!」

「おれもそうだ、今まで一人で書いてきたからな。」

「ねぇねぇ、次はどんな話を書こうかな?」

三人は仲良く次の作品の構想を語り合った。






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出版社の子どもたちを救え! 読天文之 @AMAGATA

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