上手いこと言えなくて申し訳ない。年取ったモンからすると一言で言って、そんな感じだったんです

学生時代のキラキラは、当事者にとってはまるで甘くないシュガーレスなモノだったりするのかも知れないけども。

その時代が追憶の彼方に行ってしまったその時に、その時代を懐かしんで心の中のスクリーンに映し出したなら、シュガーレスどころか甘々なものになってしまう。

思い出はいつもスィート。時間はきっとシュガーみたいなもの。

この物語の主人公に近い世代が読んだら、きっとビターな物語。
この物語の主人公の年代が遠い過去に行ってしまった世代が読んだら、きっとスウィートな物語。

いいですよ、この作品。
是非、ご一読を。

二人の女子高生の何気ない日常、その中でも確かにあるお互いの心の揺らぎを描き切った、素晴らしい短編です！

公転周期が違う二人が、近づいたり離れたり。そうそう、相手に惹かれる時ってこんな感じだよね、と尊い気持ちになれること確実です。

日常にときめきがないのは自分が何らかのサインを見逃しているからなのかな、と悔しい気持ちになるような、そんなうらやましい二人の関係性をお楽しみください。

なおこの作品の後日談も公開されており、こちらも大変素晴らしいです。併せて読むと、二つの作品がさらに輝きます。

クールなのり子と、明るく元気な絵美。この二人の関係がとても尊いです。
詳しくは本編を見て欲しいので控えますが、読んでいると「君、相手のこと大好きじゃん……！」と悶えます。
何か大きな事件が起こるわけでもなく、日常のあれこれが描かれているだけなのですが、それでも伝わってくる二人の絶妙な距離感……むしろ何気ない日常を描いているからこそより尊さを感じられて、ずっと見ていたくなるお話でした。

二人の女子高生の日常を描いた作品です。
テストの結果を気にしたり、お弁当を食べたり、ファミレスに行ったり……。
ごくありふれた日常を、独特な距離感で過ごす二人。

本作の第一印象は「ドキュメンタリー映画を見てるみたい」と思いました。

ですが、読み終えた後は「これは小説だからこその作品だ！」と思うのです。

主人公：のり子の語り口で、描かれるこの作品の空気感は、私がどんな言葉を選んでも、たぶんしっくりこない気がします。でも、読み終えると、ちゃんと読者には伝わると思うのです。

色々な物語に触れていると、「これは映像で見たいな」とか「これは絵で見たい」とか、思うことがあるのですが。
この作品の纏う空気感は、小説だからこそ描くことができたものなのだと思いました。

表紙を見ただけで、これは間違いないと思わされました。読んでみると、やはりその期待を裏切らない珠玉の短編でした。

わたしは小説を書かない人間ですが、もし小説を書くとすれば、本作は間違いなく手本にしたい作品だと思いました。

上手な人って一文目からもう刺さります!!
性格のまるで違う女子高校生二人の友情、学校生活、エモです…。
丁寧に紡がれる心情風景、穏やかに煌めく青春!!

高校時代を思い出す精緻な描写はまさしく文学作品の魅力！
「体育館の床を蹴り、飛翔する彼女を、私の眼は無意識に追っていた。」という冒頭の一文だけで、もう物語に惹きこまれる。

そこから描かれる、二人の関係性がエモい！
しかし、エモいと一言で言ってしまうと本作の良さが伝わらなくなるのでもどかしい。

こういう言語化しがたい関係性を描くの文学の良さだと改めて感じた。

このレビューは小説のネタバレを含みます。全文を読む（304文字）