この文章で作者が何を伝えたかったのか、考えないでおいて下さい。

一見、よくある国語の問題文から物語は始まる。
そして、その問題文こそが読者を奇妙な世界に誘う異界への扉になっているのである。
この問題に対する作中での正解を飲み込めない――そういうことはないだろう、作中での正解は実際に正しい、ただ奇妙に気持ち悪く感じるズレがある。
そのズレで人が死ぬことはないし、呪われることもない、ただパーティー会場で一人だけ私服を着ているような居心地の悪さを抱えたまま、物語は終わる。
現代とはほんの少し違う世界の居心地の悪さを納得できる形で書いた素晴らしい作品である。

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