心が冷えかけた時に読めますように

弟子入り前のことは覚えていない、魔女に引き取られた赤毛の娘。
師の跡を継いだ今も忘れないのは、年に一度の十二月、《クランプスナハト》の夜の思い出。

歳幼い魔女を訪ねて周り、お守りを授けてくれる冬の神、クランプス。
娘のところに来る《彼》は、凍死しかけていた自分の救い主でもあったという。
そんな《彼》に娘は恋をした。

「どうしたらまた会えますか?」
「君が僕を見つけたら」

最後にそれだけ聞いた娘は、秋めくフランクフルトの大学で掴んだ手がかり、くしゃくしゃの質問用紙にこう書いた。

‶本物のクランプスに会う方法はありますか?〟

風が冷たくなり始めた十月に始まり、回想を挟んで十二月五日、その年の《クランプスナハト》へと向かう恋のお話。

ブランデーを少し入れたいような冬の日、心が冷え切ってしまう前におすすめしたいです。
もろもろ片付けてしまうか別日に投げた後で、リラックスできる暖房の効いた部屋でどうぞ。

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