しっかり練られた設定と、応援したくなっちゃう恋ゴコロ

おそらくは細かいトコロまでしっかり練られた設定があって、でも、設定を説明するに終始してしまったならば、この作品は小説ではなくて設定資料になってしまったかもしれません。

そう。設定は作品に厚みと説得力を持たせる為に必要だけど、その全てを説明する必要なんてないんですね。そのさじ加減がとても美しい作品でした。

世界観の全てを説明しきることに注力するのでなく、飽くまで主人公の心の機微と生き抜く強さを書くことに焦点を当てて書ききっておられます。
また、敢えて説明しきらない事で生まれている余白が、読者の想像力を掻き立てて、それが読者の頭の中のキャンバスを鮮やかに彩ります。

いじらしくも逞しい主人公の生き方に寄り添うようにこの作品を読んだなら、キュンキュンしながら一気に読み終えてしまうでしょう。

さあ、そんな体験を、是非、あなたも。

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