アメリカ合衆国という国は

それなりに歳をとった私にとって、アメリカ合衆国という国は、スタイリッシュでクールでオシャレで、常に日本の先を行っている国というイメージが長くありました。

野蛮さから遠い国、アメリカ。私の中のそんなイメージは、映画【チェンジリング】を見た時から、『そんなことはないんだな。近代と呼ばれる時代には、そこそこ無節操で暴力的で野蛮な国だったのだな』というイメージに変わりました。

そして、今、この作品を読んで、『アメリカが犯した罪を責めるのもちょっと違うな。権力者が振るタクトに従い、思考停止で他者を蹂躙するのが人類の原罪で、手を汚さない権力者と手を汚す思考停止の兵という分業が人を狂わせてきたのかも知れない。それは、太古の昔から現在も続いている』と思うに至りました。

他者を蹂躙し富を同胞にもたらした英雄は、蹂躙された側から見れば悪鬼でしかない。

そんな重い真理と、無垢な幼さが持っている優しさで、読者を圧倒してくる……そんな作品です。

ご一読をオススメします。