じれったくて、くすぐったくて、優しくなれる

 日々多くの人が訪れるスーパーマーケットは沢山の品物であふれ華やかな場所。でもバックヤードは閉鎖的で、個性がひしめく濃い空間ゆえピュアなんて言葉とは縁のない場所なのかもしれません。でも……

 夕方、鮮魚コーナーで値下げのシールを貼るのは、女子高生のアルバイト白河(しらかわ)さん。
 値下げシールはただ貼れば良いわけではなく、売り上げを考えタイミングを見極めなければいけない奥深い仕事。真面目で仕事熱心な彼女ですが貼るタイミングを間違えてしまい、それを優しく説明しながら指導する鮮魚部門チーフの水野(みずの)に彼女は顔を赤くして突然言うんです。

「私お買い得です」って

 主人公である水野は24歳。対する白河は女子高生なわけで、これは気があるアピールなのか? いやでもまさか……と勘ぐってしまうのは仕方のないこと。
 けっして鈍感なわけではなく年齢差や立場から踏み込めない水野と、不器用だけど必死にアピールする白河。

 そんな2人のやり取りが、じれったくて、くすぐったくて、でも徐々に進む関係が嬉しくて、読むと優しい気持ちになれる作品です。

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