第13章 来訪者7

「アレをビデオに撮って、SOS団オンリーの結婚式2次会で上映会するのよ。あたしだったらあの空間に入れるらしいから」

「 キー 」

「さっきから何それ。流行ってんの?」


 ハルヒはハルヒであってハルヒでしかないというトートロジーで……って言ってる場合か! 何が『大人になった?』だ! 頭のネジが2、30本抜け落ちてるのは今とぜんぜん変わりがねえよ、こいつ!


「てか、アイデア出したの古泉くんなんだけどね」

 

 くぉいずむぃぃいぃい!!!

 

「2次会の出し物は何がいいかしらって相談したら、こんなグッドアイデア出してきたの。流石はあたしの選んだ副団長ね!」


 明日会ったらとりあえずぶん殴ろう。何のことだか明日の古泉は解るまいが。


「有希もみくるちゃんもノリノリだったわー。

 

『思念体に報告すべき貴重な情報。成功を祈る』

『わあ♡、想像しただけでキュンキュンきちゃいますね。涼宮さん早くいきましょう』 


……どう? 今の声真似、似てた?」


 

 全 員 死 刑 。


 

 我が生涯の友垣などと、甘っちょろいことを考えていた過去の俺をぶん殴ってやりたい。

 んなトラウマものの映像を撮られてたまるか。自分の未来は自分で守る。

 俺はハルヒに飛びかかった。


「そのカメラ寄越せ! 没収だ!」

「ちょ!何すんのよ! こんな時にサカるなっ!」


 くっ、無視だ無視! 確かにこいつは馬鹿力だが本気の俺の筋力をなめるなよ!


「あっ! そ、そんなトコ、さわ…… なんで今のアンタがあたしの弱点知って、あン♡」


 通じるか! んな攻撃! よし……もうチョイでカメラを奪え……

 

カチャリ


 ドアが開いた。


「キョン君お邪魔しますね。涼宮さんお待たせしましたー……」

「あ」

「あ」

「あ」


 これはこれはどうも朝比奈さんお久し振りですね……いや、この状況は非常にまずい様な気が。

 

「なぁーーにやってんですかあー!!キョンくんーー!!!」


 だあぁーやっぱり!!


「そんなマネはこの時代の涼宮さんにしてください!!」

 

 えええええ? そっち?

 

 いやそれは何か違うのでは? と言いかけた俺の前に銀の棒が突き出され、


「油断したわねキョン。それじゃまた未来で会いましょ」

 

ピカッ


「あふん」


(間抜けな声を出してしまったな)と思ったのを最後に、俺の意識はそこで途絶え───

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る