未来人侵略

睡羊軒

プロローグ

「ふわぁーあ」

 

 と、あくびをもらした俺は、TVゲームのコントローラを床に投げ出し、電源を落とした。


(そろそろ寝るか……)


 明日は久しぶりに週末SOS団市内不思議探索がある。無論いまだ何の成果も上げていない。上げてもらっても困るけどな。

 いっそアレは『ぶらりSOS団の我が街めぐり』とでも改名した方が潔くは無かろうか──などと愚にもつかぬことを考え、愚考の主原因たる水冷V12気筒ツインターボ搭載の暴走女の顔を思い浮かべ、速攻で脳内から消去する。アイツの顔を思い出すと寝つきが悪くなるのでな。


 そうして灯りを消す為に立ちあがったとき、


カチャリ


と部屋のドアが開く音がした。

 妹か? そろそろこいつにはノックのマナーを教え込まねばなるまい。


「こら、もうお前は寝る時間だろ。それから入る時は……」


 …………って、誰だこいつ。


入ってきたのは妹でも親でもなく、北校の制服を着た謎の男だった。古泉ではない。谷口でも国木田でもない。中肉中背で俺と同じくらいの身長。眠たげな平凡な顔。初対面のくせに、なぜか年中見かける面という不思議な印象を持つこの男は…………


「……………………は?」


パカリと俺の口が開く。何の冗談だこれは。あまりといえばあまりの出来事に、完全に固まる俺の顔を、なぜか悲しげな顔で見つめながら、そいつは言った。


「……よう、『俺』」


 入ってきたのは俺だった。

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