第4話 ギルドシップ
シノ達を隣町へ護衛したのち、ムーコとグレイは各々の用事へ向い、シノは建築の仕事に取り掛かった。
シノ「ハビトさんは暇になると思うから、夕方までこの街を探索してみたら? ギルドシップという交流の場もあるわよ」
そう言い残してシノさんは仕事に向かっていった。
初めての街でいきなりボッチとなるハビト。
ギルドシップか……どんなものなんだろう?
少し興味が沸いたハビトは探索がてら、ギルドシップを探すことにした……。
シノの町よりは大きめの街で、より賑わいを見せている。
お金は無いのでほとんど通り過ぎるだけだが、市場を廻るのも悪くない。
そういえば剣もだいぶガタが来ているし、買い替えも考えないと……。
滞在費としてお昼代程度ならシノから受け取っていたが、剣を新調出来るほどでは無い。
通貨はデザインの違いはあるものの、ほぼ価値などは似たようなもので、よそ者のハビトにも分かりやすかった。
実はハビトはシノの言いつけでずっと頭に布を巻いている。
ターバンほど分厚くしてる訳では無いが、頭を全体的に隠すような感じだ。
これが何を意味するのか、なんとなく分かっていたので、敢えてハビトもそのままにしている。
身長・体格的にこの辺りの人族と相違ないハビトだったが、頭のソレは少し目立つ。
お昼を食べようとレストランに立ち寄った。
「いらっしゃいませー」
元気な獣人族の女性の声、華やかな店内は栄えている街を象徴するようだった。
ハビト「この街は初めてなので、郷土料理のようなものを、あとギルドシップはどこに行けば良いですか?」とぶしつけにも店員に聞いてみた。
「それならここを出て真っ直ぐ高い塔を目指せば辿り着きますよ! 郷土料理ですね、お待ちください♪」
こういった対応にも慣れているのだろう、笑顔で答えてくれる店員。
しばらく出された水を飲んで待っていると、暖かそうなスープが出てきた。
「お待たせしました! 山芋とキノコのスープです♪」
おぉ〜! 香りが豊かで美味そう!
魔物と戦ったり、街を歩き回ったハビトは空腹で、あっという間に平らげた。
お代を払い、ギルドシップを目指すハビト。
高い塔を目印に真っ直ぐか……。
しばらく歩くと、石造りのいかにも冒険者御用達っぽい建物が見えてきた。
看板には「ギルドシップ」の文字。
ここか。
頑丈で重い扉を開けると、ちょっと男臭いフロアと、奥にカウンター、あとは何かの受付だろうか、いくつか小さめのカウンターもあった。
正面がメインカウンターだろうと、近づき……
ハビト「ここがギルドシップだと聞いてきたのですが?」と、臆せず話しかけた。
受付「あんた冒険者かい? 見ない顔だね」
ハビト「はい、この街は初めてで」
受付「なるほどね、生憎だが正確にはここはマスターギルド、ギルドシップの斡旋、クエストの発注をしている場所さ」
またもや新しい単語、マスターギルド?
取りまとめという意味かな?
受付「要するに君みたいな無所属の冒険者に適したギルドシップを紹介してるのさ、君も探してるなら、まずは登録しなきゃだな」
と、何枚かの書類とペンを差し出された。
書類には、割愛するが、冒険においての保証や、紹介で入ったとしても後は自己責任となる事など、規約が書かれており、名前や役職・種族などを書き込めれる。
ハビトは頭を隠してる事もあり、「人族」とした。
フルネームも気が引けたため、ハビトとした。
嘘と言う訳でも無さそうだ、冒険者用の名前(2つ名)などで登録する例も載っていた。
これでよし、と……。
書類を提出すると、
受付「少々待ってな」と書類に目を通している。
周りには仕事待ちか、仲間と待ち合わせなのか、数人の屈強な男達がテーブルにざっくばらんに座り込んでいる。
あまり目を合わせたくない相手ばかりだ……。
受付「連絡先がシノ建設になってるけど、本当にか?」
疑わしいというより、種族が違うのに?といった顔をしている。
ハビト「はい、部屋を間借りしているので」
受付「なるほどな、それなら……うん、採用だ、これで君も今後うちで斡旋でもギルドシップ探しでも好きにしていいぞ!」
おぉ〜やった!
ハビト「ありがとうございます!」
シノの手伝い、商会との出会い、そしてギルドシップ、
新たな街はハビトに新鮮な刺激をもたらしつつあった……。
つづく。
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