第5話 その名はバン

ギルド登録を終え、また街を散策するハビトだった……


いかなる街でも、1番の情報源は酒場というセオリーがある。

ゆえに次は酒場に向かうことにした。


事前にギルドシップで、酒場の場所を聞いておいたおかげで、今回も迷わず辿り着くことが出来た。


古びた木の扉を開けて酒場へと入る……


昼間の酒場は静かかと思いきや、なにやら騒がしい。


大男「おい! あんちゃんも冒険者だろ?!」

入るやいなや、慌てた様子の大男に声をかけられた。


ハビト「何かあったのですか?」

聞く耳を持ってくれる事を確認した上で、大男が話し始めた……


大男「あんちゃん、腕に覚えがあるなら、魔門封鎖に出向いてくれねぇか?」


魔門……?


ハビト「それは何ですか? まだこちらに来て日が浅いので……」

故郷でも聞いたことがない。


大男「そうかそうか! 時間が無いんでな、説明は短くさせて貰うぜ、魔門ってのは、要するに突発的に現れる、魔物がウヨウヨ出てくる危ねぇやつって事だ!」

分かりやすい説明だった。


ハビト「分かりました。時間が無いのであれば、僕も行きます」


即答するハビトに、少しだけ呆気に取られた大男だったが……


大男「そ、そうか! それなら話は早い、俺と一緒に来てくれ、位置情報のだいたいの目安は付いてる! 皆も準備はいいな?!」

後ろで話を聞いていた、多分お仲間だろう冒険者らしき2人も立ち上がる。


仲間の女性「たったの4人で魔門か〜」

仲間の男性「この兄さん次第じゃ、楽させて貰えるかもよ」

魔物がウヨウヨ出てくる魔門に向かうにしては、平然とした顔つきの2人、かなりの手練れだ……。


大男「おっと名前だけでも言っておかないと面倒だな、俺はバン、私設ギルドマスターだ、皆は敬愛を含めてバンチョーと呼ぶ、よろしくな!」

仲間の女性「敬愛した覚えは無いけどね、私はエリ、よろしくねお兄さん」

仲間の男性「俺はジラだ、君は?」

バンさん・エリさん・ジラさんか……


ハビト「ハビトです」

バンチョー「よしでは行くぞ、ハビト君!」


さすが酒場だった……情報収集どころか、いきなり大仕事が舞い込んできた。



つづく。

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