第2話 その名はハビト

彼の名は「ハービヒト・ロードス」

略してハビト。

とある辺境の生まれで、剣術が得意だった。


両親はいない。

酒乱の父親に虐待されて育ち、

酒の席でのいざこざで父親は町のチンピラに殺され、母親に女手1人で育てられるが、無理がたたり、母親も数年前に他界していた。


少年から青年へと成長した頃、剣の腕を見込まれ、町で有力な傭兵団に招集された。


彼にとって戦闘はとても楽なことだった。

何も考えなくてもいい、目の前の魔物を狩るだけだ。


着実に戦績を上げ、剣術指南役となった。

持ち前の明るさもあり、組織の中でも頭角を表していくこととなる。


ハビトは新人育成にも積極的だった。

率先して剣術を教え、食事に誘うなどして、人望も厚かった。


事態が急変したのは、あっという間だった。


女性副団長「勝手な事しないで!」

突然の事で身に覚えのないハビトだったが、

事はそれだけでは終わらなかった。

翌日、団長に呼び出され、

団長「ハービヒト、お前は要らない、現時点をもって解雇とする!」

重い扉が閉ざされ、ハビトの環境は一気に転がり落ちていく……。


一体何がいけなかったのか……


なんとか団員に接触するも、

団員「お前と話してるのヤバイんだよ、もうついて行けねぇよ」と、背中を向けられてしまった。


なんでこんなことに……


すでに家族も居ないハビトは孤独になった。


家に閉じこもるも、何度となく団長達の言葉が頭の中で繰り返された……。


もうここには居られない……


自暴自棄となり、愛用の剣一つを友に、彼は町を飛び出した……。


放浪の冒険者ハビトの誕生である。



つづく。

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