冴えない薬屋と貧乏女騎士、危険な薬で裏社会から異世界を成り上がる!?

 前世はブラック会社の営業マン、現在は売れない薬屋の店主として生きるガランは、経費削減の為山菜採りに向かった山で、幼い竜に遭遇してしまう。

 絶体絶命の所を女騎士・イリィスに救われるが、彼女の出で立ちはどこか怪しい。実は彼女は騎士は騎士でも、幼い竜しか狩れず生活費を稼ぐのも困難な落ちこぼれだった。そんなイリィスは、「粉末状の竜の脊髄を炙って吸う」という変わった行動を、日々の少ない楽しみにしていた。

 その絵面は現代の感覚ではどー見てもアウト。どっからどう見てもよくないクスリをキメてるようにしか見えない。驚いたガランは、そんな事は非合法ではないのかと尋ねるが、そもそも粉状にした竜の脊髄を炙って吸うなどという行為をこの世でやってるのは自分ぐらいで、それを取り締まる法律なんて無いという。然もイリィス曰く、この行為で体調が悪くなった事も無いそうだ。言わば嗜好品である。

 それを聞いたガランは、元営業マンの記憶が疼いたのか閃く。こいつを売れば大儲け出来るのでは? 貧しい生活も抜け出せるかもしれない!

 二人は手を組み、「魔薬」と名付けたこの嗜好品を世に広める為行動を始めるが、町一番の薬屋に流通を阻まれるわ、ならば別ルートから宣伝して売るしかないと、物好きが集う「変態舞踏会」とやらに参加する為「変態おじさん」を探しに市場に乗り出すわ……。と、クスっと笑えるコミカルなシーンも多々登場する。

 然しタグにもある通りピカレスク。しっかりとダークファンタジーとして、緊張感漂う世界観が構築されている。この緩急の差が堪らない。まだ連載中で話数も九話ながら魅了されてしまった。

 ひょんな事から出会った二人の危険でダークな成り上がり、是非ご一読!

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