福来雀の根付をご存じですか? ご覧になったことのない方、是非まずは検索してみてください。ものっっっすんごく可愛いんです。
この物語の主人公は、その根付に宿る付喪神の〝スズメ〟。もう絶対可愛い。可愛いながら勝気な性格も萌えポイント。
さて、本作舞台はヒトが絶滅した終末の世。スズメと共に暮らすヨイチが、ひょんなことから「ヒト探し」の旅に出る決意をすることに始まります。しかし出発当日の朝、目覚めるとヨイチは付喪神の姿から弓引き人形の姿に戻ってしまうのです。
ヨイチと違いヒトに関心のないスズメですが、彼女は彼の意志を継ぎ、住み慣れた江戸の町を離れることになります。
旅を共にする辞書の付喪神・コショもなかなか面白い。知識量豊富で話が長くクドいコショですが、読んでいるうちに段々と彼の味の良さが分かってきます。
道中に様々な妖怪や神様と出会い、トラブルに巻き込まれながらも、二人はコショの提案である伊勢神宮を目指します。
わびさびを感じる江戸の雰囲気に負けず、どのキャラクターたちの個性も豊かで、テンポの良い話の展開に胸を弾ませながら拝読させていただいております。
きっとまだ多くのトラブルに巻き込まれていく二人と思いますが、持ち前の明るさと知識を武器に立ち向かっていくことでしょう。
そしてもしヒトを見つけ、ヨイチが元に戻ったなら……などと思いを馳せますが、まだまだ物語は序盤。この先の展開が楽しみです。
人情溢れるほのぼのとした中に、ちょっとした切なさも感じる二人の旅と出会い。
是非お楽しみあれ!
長き時を生きる付喪神。しかし、ヒトがいてこそ付喪神が存在する。
ヒトの居なくなった終末世界では、老いとは無縁の付喪神に終わりは突然訪れる。ヒト型の存在を維持出来ずに、元の道具に戻ってしまった弓引き人形のヨイチ。ヒトが居なければ、付喪神には戻れない。
突然相方を失った付根のスズメは、ヨイチを元に戻すべく、ヒト探しの旅に出る。
終わりが訪れるのを待つだけの付喪神の寂しい世界観だが、スズメやコショの明るくユニークなキャラクター達が、一切の暗さを感じさせない。
まだ旅は始まったばかりだが、どんな出会いがあり、どんな結末が待っているか。楽しみでしかない作品!
舞台は終末世界。人の滅んだ江戸の町。
衝撃的な始まりですが、そこでは、妖怪たちが、おだやかに暮らしています。
ある日。付喪神のスズメは、同居人(付喪神ですが)のヨイチと一緒に、人を探す旅に出かける約束をします。
ところが、出発の日。ヨイチはただの人形に戻ってしまったのです。
傍にいるのが当たり前だった存在のヨイチが、付喪神でなくなってしまう。
人間ならば感じる「さみしさ」を、付喪神のスズメにはちょっとわかりません。
でも、できることがあるならしたい。だから、スズメは旅立ちます。
まるで、かわいらしい人形劇をみている気分で、わくわくしながら読みました。
勝気なスズメちゃんもかわいいです。旅の相棒となる、ちょっとめんどくさいコショも、またかわいい!
物語に漂うほんのりとした寂しさが、ちょっとスパイスのように効いているのも好きです。
まだ旅は始まったばかりです。これからも、わくわくしながら読み続けたいと思います。