本作と後日譚

 本作は電話交換手という現代においてはIT分野のような役割を果たし、ある意味その重大な役割と、それ以上に故郷への愛ゆえに、タイトルから想像させる様な結末を迎えざるを得なかった物語ではあるが、実話を基にした歴史でもある。

 民族と言うものは厄介なもので、戦争やクーデターで一度や二度国が転覆し、支配者が代ろうが、国名が代わろうが本質的には変化しないものである。その様な、或いは類似的な経験を経て、劇的な変化をした国を敢えて挙げれば日本だろうが、厄介な隣国は100年も経たぬ間で2回も国名が代り、政治体制も変わり、21世紀になった現在でも、本作の如く野盗の所業を現在進行形で行い続けている。かつて、その隣国の大統領が日本訪問時に親し気に「さん」付けで呼び、友好ムードを演出する当時のマスコミは本作の様な過去を敢えて無視したかったのだろうかと、昨今の隣国の大戦時と変わらぬ剥き出しの野心を目の当たりにして、その徒労に失望の念を禁じ得ない。

 余談だが、後日譚を述べると、この後、ソ連は北海道北部に侵攻を行おうとする。既に降伏で武装解除を行っていた日本だが、樋口季一郎(1888~1970)中将の決断でソ連軍に反撃を行い、北海道本島を守り切ったという過去があるが、残念なことにあまり知られていない。