初めは、単なるSMの話なのかと思いましたが(←作者様、ごめんなさい!)、読み進むにつれ、その面白さ、やさしさ、テーマの深さに没頭してしまいました。
深い! 作者様の、人間心理の洞察眼と表現力には、感心し、感動すら覚えました。(特に、14話からのコラス三姉弟編)
この物語が紙の本だったら、絶対買います! そして人間心理の教科書として、手元に置いておくでしょう。……そう思うくらいに、感銘を受けた物語でした。
▼主人公の少女アリアは、ケニス小国の新米聖女。ストイックな修道生活を、先輩聖女とともに送っている。信者を導くのが聖女の務めなのだが、アリアは、それまでになかったまったく新しい導きに目覚めてしまう。それは、信者を罵ったり踏んづけたりする、ドSな導きだった! 破天荒ではあるが、真をついた導きに、人々の悩みは解決してゆく。
シリアスとコメディが半々くらいで、自分にとっては、とてもよいバランスに感じました。
アリアの表人格と裏人格のギャップがおもしろく、どちらの人格もキャラ立っていて魅力的でした。
よい意味でのオリジナリティがあふれる、とても面白い物語でした!!!
タイトルがドS聖女ときたら、期待しますよね、荒ぶる聖女さまの暴言節❣️
でもあれれ、本当のアリアはそんな怖い聖女さまじゃないみたい
小さな国の小さな教会でスローライフしている天使みたいな15歳の女の子
とても素直で優しい子なんです
そんなアリアを暴言に駆り立てるものは?
それは人類愛❤️
ヨーロッパの某国をおもわせる風景描写が美しく心を潤してくれますが
この物語世界は人の理が生きる世界、一筋縄では行かないのです
だからこそ聖女アリアの骨の髄まで染み入るようなお説教が人々の心を、読者の心までを打ちます
ギャグを挟みつつ、人間的な部分を手を抜かず丁寧に書き綴る作者の筆使いに、作者の作家としての矜恃を感じました
読み進めるうちに人間アリアがとても好きになる、そんな素敵な物語でした
主人公のアリアは、迷える人に助言を与え、悩みの解決の糸口を与えたりする聖女というお仕事をしています。
それを、「導き」というのですがアリアの導きは暴言ギリギリの罵りに近いもので。
確かに暴言に近いものなのですが……ただの暴言じゃないんです。
表面上、相談者が一番言われたくないであろうことなんだけど、本当は誰かにビシッと言って欲しかったはずのことでもあるんですね。
そこから逃げていたら、いつまでたっても前に進めない。誰かが言ってあげなくてはいけないことを、オブラートに包まずガツンとぶつける。
故に、相談者の心に深く深く刺さります。
うわ……それ言っちゃうのか……自分なら言えないな、と読者は思うでしょう。
だから、妙なスッキリ感があるし爽快感があり、痛快です。
相談者たちの悩みをバッサバッサと切り捨てて解決していくアリアの導きのファンになってしまいます。
ドSな聖女というキャッチ―な要素とは裏腹に、キャラクターの描写力が凄まじい。
断じて一発ネタという訳でない!
本作には個性豊かなキャラクターたちが登場するが、そのバックグラウンドをしっかり描いているおかげで、ただの奇天烈なキャラ小説ではない厚みのある作品になっている。
登場人物がこう考えたから、こういう行動をとったという流れの全てに納得感があって、読んでいてストレスが恐ろしく少ない。これは間違いなく著者様の筆力によるものだと思う。
劇的な展開の少ないスローライフものではあるものの、これほど各キャラクターを丁寧に描いている作品は中々ないと思うので、ぜひ読んでみて下さい。
個人的には、14話から始まるコラス三姉弟編がめちゃくちゃ好みでした!
主人公だけでなくサブキャラクターも含めて魅力的に描かれているのが「良い」