国宝と剣と伝承のファンタジー

風雲急を告げる冒頭からはじまるも、剣の腕と託された宝刀によって難局を切り開いていく女主人公のたくましさが見事です。性格もあかるく、けっして物怖じしない精神はかつて大国の姫君としての矜持がためでしょうか。反面、年ごろの婦女子のような可愛らしいところもあって、読んでいて楽しい気分になります。謀反を企てた炎帝国による計画が明らかになるにつれ、事態は徐々に一国の範疇におさまるどころではなくなり、その大きな潮流に巻き込まれていく主人公たちの活躍は結末にむかうほど加速していき、読む者にある種の衝撃を与えてくれます。
異世界ファンタジーにいささか食傷気味になっている方は、ぜひ本作を読んでください。作り込まれた独自の世界観に酔いしれること間違いなしです!

その他のおすすめレビュー

Norrköping さんの他のおすすめレビュー47