概要
「父さんと何話してたの、晃くん」――すれ違い続ける兄弟の話
父が交通事故に遭って入院して危篤状態。三週間目のある朝、訃報を告げたのは兄だった。四つ年上の兄は円(まどか)が口を聞けば苛立ち、邪険に当たる。母は兄弟の不和に無関心で弟ばかり可愛がっている。円は父の死に対しての実感も感情も湧かず、ほぼ無意識に父の遺体への接触を試みる。それを制止した兄の晃は、数年前から何度か起こっていた、父と円のあってはならない関係に長く苛まれていた。
中学生の頃、晃は部活から帰宅した時に父と弟がふたりで入浴していることを知る。母に訪ねると不自然な反応に焦燥が募る。父は弟を愛玩の対象として見ていることを知り、それに自分の情動が重なって激しい自己嫌悪に陥った。その後、家族の均衡を手探りにどうにか保ちながら、大切な弟を守るつもりで家族も自分も傷つけてきた兄。父の死後、母との会
中学生の頃、晃は部活から帰宅した時に父と弟がふたりで入浴していることを知る。母に訪ねると不自然な反応に焦燥が募る。父は弟を愛玩の対象として見ていることを知り、それに自分の情動が重なって激しい自己嫌悪に陥った。その後、家族の均衡を手探りにどうにか保ちながら、大切な弟を守るつもりで家族も自分も傷つけてきた兄。父の死後、母との会
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