僕はこの物語を拝読させて頂き、週刊少年ジャンプで連載してもいいかも? と思いました(笑)。もちろんコミカライズ必須ですが……。
さて、その理由。
ジャンプでは勿論の事、ラノベにおいても「少年の成長物語」は随分とあります。というか「成長」無くして物語は語れない部分であるのは間違いない事実だと思います。だからある程度賢い書き手様は、この「成長物語」を書けばいいんだとお気づきになられているのですが、そのもう少し先についてのお話をここに書かせて頂きます。
僕がこの物語を好きになった理由は、主人公である少年のその「心」にあります。
「成長物語」の大切なその先というのは、「筆者様の人生観が、読者様の心を打つかどうか」でございます。少し分かりにくいです。もっと単純に言います。
例えば、鬼滅の刃の煉獄さんが「心を燃やせ」と言いました。すごく僕の大好きな表現です。もしこれが近い意味(?)で「一生懸命やる」とか「歯を食いしばる」とか「死ぬ気でやる」とかだと、どう思いますか? 僕はシチュエーションもあるとは思うけど、絶対に名セリフとして残らないと思います。
僕はこのセリフを生み出すに、筆者様が経験的に得た人生観が滲み出ていると思います。何かを成す時に「心が燃えねば何も成せない」と思っておられるからだと思います。それはどんな心境で想われたのか、創作を手掛ける人間の片隅にいる僕でさえ、容易に想像出来ます。
それは一生懸命やって、歯を食いしばって、死ぬ気で挑んでも、まだ足りずに無残に破れた者がさらに前に進もうと決意する、そんな経験がないと絶対に「出て来ない言葉」だと思うからです。だから僕の胸を熱く打つのです。
さて、そういう観点からこちらの物語。僕は作中の「ぼく」が、絶望の中で、また希望の中で、またまた生死の分かれ目で、そんな瞬間に導き出す「言葉」がとても好きです。それはこちらの筆者様がなんらかの経験において、「自らを人生で生かす」為に手に入れられた「生きた言葉」だと思うからです。だからね、とっても心に響きます。
お勧め致します。
単純な成長物語でなく、大切なその先の「胸を打つ言葉」を放つ主人公が活躍する物語です。これはワクワクせずにはいられません。
皆様、宜しくお願い致します( ;∀;)
全てを失い、自分には何の価値もない、と思っている少年が、どん底から這い上がる物語。
そしてそれは、精神的なものだけでなく、物理的な距離を示しています。
崖下へと転落し、九死に一生を得た主人公が、自らを鼓舞して盛り返し、崖下で生き延びつつ成長しようとする。
年端も行かない幼子が、これを決意するだけでも凄いのですが、自分がどん底だと理解しつつ、どん底にいるなら後は這い上がるだけ、と思いきれるのも凄い!
その精神性な特異さは、随所に見られて度肝を抜かれます。
主人公の成長性の基盤となっているのも、まさにそこです。
一体どこまで成長してくれるのか、そして崖を這い上がる事は出来るのか。
這い上がった先、待ち受けるものはあるのかどうか……。
どん底からの成長物語を読んでみたい、という方は是非目を通して頂きたい作品です!
幼い少年が主人公となれば、ほのぼのしたジュブナイルを誰もが予想するだろう
しかし、この作品はプロローグから唖然とするほど真っ正直に裏切ってくれるのだ
初っ端出てくるこのセリフ
>だって、本当ほんとーの落ちこぼれは……誰にも『にんしき』されないものだから
これに度肝を抜かれた
この少年は只者ではない
この感慨はそろそろ酸いも甘いも噛み分けようという大人のものだ
世界の残酷さを十分に思い知ってボロボロになりながらも、まだ少年の心を持ち続けようとする、ナイーブに振り切った表現者のものだ
これはカクヨムに溢れ返っている異世界転生もの、チートで俺TUEEEEでハーレムな作品群への強烈なアンチテーゼではないのか
そう思ったところからこの作品が俄然面白くなった
社畜のおっさんが異世界転生したら本当はこうだろう、という小気味よいほどのリアリティ
そして異世界転生もののお綺麗なご都合主義にうんざりしている読者には、これがものすごく響くのだ、痺れるほど共感できる
ある人にとっては、覚醒するための劇薬になるかもしれない、今のリアルに牙を突き立ててくる超作品である