物語は、他者を認識し、認識されることから始まる。

落ちこぼれは、認識すらされないんだ――。

何も持たず、何もかも失った六歳の少年は、崖のどん底で、魔獣に出会う。
食べられると思っていた少年だが、魔獣は少年を食べようとしなかった。

「あのすごい魔獣は、ぼくをエサとしてじゃなくて、『ぼく』として見たんだ」
「ぼくも頑張ればあんな風になれるのかな……」

少年は決意する。生き残ることを。
どん底から、這い上がることを。

過酷な世界で見つける、美しい生と死の姿。
言葉や常識が通じない、凶暴で慈悲深い生き物たちは、弱肉強食の世界で、それだけではないことを証明する。


生き物は、存在を認識することで生きることが出来る。
出会いとは、存在を認識すること。
学ぶとは、武器を持つこと。
変えられない弱さだって、状況によっては強さに変わる。そして、成長することも出来る。
果たして、いつか這い上がる少年の見る世界は、どんな色をしているのだろうか。

「きれいなお姉さんに会いたい!!!」

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