パンツァー的執筆法
以前、ノベルスキーに参加させていただいたときに、ノープロットで書く人=パンツァー(Pantser)を、『戦車みたいに突貫で書く人』みたいに言っておられた方がいて、――なんでPanzerじゃないんだろう?――みたいに思ってましたけど、よくよく調べてみたら全然違う語源でした……。
まあともかく、私は直感で書くタイプでプロットはまず作りません。ただそれでも、何にも考えずに書き始めるわけではありません。例えば拙作の場合ですと――
『かみさまなんてことを』:叡智シーン
『寝取られには巨乳がよい』:寝取られバレのシーン
『恋する僕を裏切って~』:テンプレ合体『マルチNTR×ハーレム』
『堕ちた聖女は甦る』:なんにも(ほんとになんにも)
『僕の彼女は押しに弱い』:ヒロインが脅しのスマホ投げ捨てるシーン
『ヤドリギの下の物語』:洗脳勇者ほのぼのラブコメ!
『堕チタ勇者ハ甦ル』:この作品だけプロット立てました
『恋した彼女は浮気女』:ボロボロのヒロインに告白しまくってフラれる
『ゲロチューしたいほど君がスキ』:愛のゲロチュー、君は見捨てない
『私の何がいけなかったのか』:既存ネタ導入からなので他はなんにも
『勇者のオレの妻が全員NTRれている件』:妻たちに何故か酷い扱いを受けている勇者
『王子の~』:二正面作戦! 頭の上がらないやつに部下を取られる
このくらいは考えて書き始めるんですよね。いくらノープロットでも例えば背景設定を考えたり、話の大まかな流れを考えたり、人物名くらい考えたりされる方はいらっしゃるかもしれませんが、書き始めた時点では何も考えてません。名前も適当にその場で付けます。
書き始めは『こんな感じでるるる~』みたく、何となく思い浮かんだ情景(脳内映像)をそのまま文字にしていきます。文字にしたらそれが情報になって頭にフィードバックされて、次の情景やキャラの背景が浮かんできて、とにかく頭に思い浮かんだものを、視点であるキャラの頭を通してそのまま書いています。
文章はほぼ手癖で打ってますし、フレーズや表現もたぶんどこかで読んだり観たりした過去の作品のオマージュなんでしょうけれど、初心者はそんなもんですよね。あまり文学的ではなく、難しい表現は使いません。修辞や描写もありきたり。ケニングっぽいのとか古風な言い回しとかは好きですけどね。
あとまあ、私はもともとRPGのGM(ゲームマスター)出身で、しかもアドリブストーリーテラータイプのGMだったもので、適当なその場その場の出まかせから、喋りながら設定を起こして伏線張って、風呂敷畳んでいくのが大好きで得意だったのもあります。とにかく騙りを語るのが得意だったわけです、さも前から考えてあったかのように。
そんな感じで、次に何が起こると楽しいだろう、このキャラは背景に何があるだろうと想像しながら、まだ見ぬ伏線の余地も残しつつ、話を引っ繰り返すギミック考えたりしながら楽しんで書いていったのが拙作な訳です。
いや、それで物語になるのかって?
皆さん、これまでに読んできた物語のテンプレが割と頭にあるわけでしょう? じゃあ大体それっぽい起承転結になるってもんですよ。ただまあ、私のようにちょっと偏った作品が好みの人間には、普通の人には合わない作品になるってだけで。
◇◇◇◇◇
適当に筆を滑らせてる私ですが、物語を書く上で一応気を付けている事もあります。例えば会話の流れなんかは自然にしたいですね。できるだけその立場にあるキャラクターが自然に発しそうな言葉で、記号的ではない会話を心がけています(逆に記号的な会話をする場合はコメディを意識してます)
その理由もあって、会話シーンは大体一発書きしないと繋がりに不満が出ることがあります。途中で会話を差し込んだりすると、その時点でその場にいるキャラの頭の状態が変わってしまって、会話の端々も変わったりするので、後から変更する場合、そこから先の台詞が全部変わってきたりするんですよね。あれの修正が苦手です。
予め、こんなシーンを描きたいと言う場合、そのシーンに向けてのロードマップを逆算することはあります。できるだけ意味の分からない繋ぎは避けたいですからね。逆算して、途中の流れを考えたり、時には初期値を変えたりもします。キャラの初期設定を変えたり、立場を変えたりですね。
戦闘シーン、立ち位置を凄く気にします。特に会話の流れを含める場合なんか、瞬間移動するキャラとか居ないように注意しています。この距離からこの武器は届くのかとか、この距離から守れるのかとか、このキャラを狙うにはどのキャラのZOC(Zone of Control)の影響を受けるかとか(よく見かける、守ってるキャラがいきなり敵に殺される不条理が納得いかないんですよねw)。何でも貫いちゃう防御無視、射程無視の無双攻撃はナンセンスです。
あとはクライマックスですね。ここまでは映画的な表現が好きでしたが、クライマックスだけは映画的なのは超苦手です。余韻を残してるつもりなのか知りませんが、長編で最後尻切れに近い突然のクライマックスだけはごめんです。あれは短時間で印象付けるためのもので、長編でやられると虚無感半端ないです。ドラマティックだと思ってるのは作者だけなので、ちゃんとキャラクターそれぞれにじっくりと納得のいくエンディングを用意してもらいたい所ですね。
私としては読者を煽った分、それ以上の幸せのカタルシスを用意するべきだと考えてます。
『新作書いた』なら使ってもいいッ! あんぜ @anze
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