夜の街を舞台にした正統派伝奇ファンタジー!

 王道要素と伝奇的な陰鬱とした要素の兼ね合いが素晴らしく、作者様が型月作品がお好きなようで、至る所にオマージュがちりばめられているが、単なるオマージュ作品というだけでなく、しっかりと本作独自の特徴もあり、とても面白かった。

 地の文の言い回しは作者様が型月作品をよく研究されたのだと思う。少年漫画のような『熱さ』を型月的な手法を用い、この作品のエッセンスを加えた言い回しで、読者に緊張感と共に叩きつけに来る。

 世界観や登場人物は暗く息苦しさを覚える正統派な伝奇モノで、ある種のホラー要素の片鱗も感じられる。そして、そんな重苦しく暗く、赤黒い血に支配された世界だからこそ、微笑む月の光が、走る刃の輝きが、彼女の鮮やかな赤い髪が、美をもって現れる。

 五十一話時点でさらに謎は深まり、様々な人物が交錯する。ぜひとも続きを楽しみだ。一体、これからどのような真実が明かされ、事件は、二人はどのような終わりを迎えるのか。

では最後に、正統派な伝奇ファンタジーを求める貴方へ。

ぜひこの作品、読んでは如何だろうか?

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