花で結んで、この縁を。

物語は、「己霊」《こだま》と呼ばれる存在(女性)が、人間の身体におりてきて、というところからはじまります。
「己霊」のサク、その器となった人間の「ツキタチ」とのやりとりがメインの物語ではありますが、とくに華やかなのは、花街の猫写。

とにかく文章が美しい。
ふんわりと纏められた髪型
色とりどりの着物。
美しい妓女たち。

「ツキタチ」は花街で働く男であるので、自然と妓女の猫写が多くなります。
そして、とある妓女が、雪道をひたすら歩くシーンは、圧巻です。

花結び───。この縁。
このタイトルが象徴するものは何か。
最終話を読むと、すっきりと、腑に落ちます。
美しい物語です。

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