第6章 42話 花びらが舞う夢の世界

 ゆっくりと日が暮れていく。


 春ヶ原の花々に青い闇が降り、深い色に染まっていく。美しすぎて、涙が浮かんだ。


 ……こんな夢の世界に出逢えてよかった。なにもかも、夏澄くんのおかげだ。


「どうしたの?」


「夏澄くんに出逢えてよかったなって」


 夏澄くんに逢えたから、こんな夢の世界に来れた。夢の世界のきらきらを知れた。


 悲しいことが多いこの世界で、希望のきらきらを見つけられた。


「これからもよろしくね、風花」


 きらきら、きらきら、夏澄の笑顔は水面のように輝く。


 優しい精霊には幸せになって欲しい。優月さんにも夏澄くんにも。


 いつか……。


 いつか、わたしがもっと大人になって、強い霊力も持てたら、夏澄くんの願いの手伝いをするんだ。


 そんな日が来るだろうか。


 夏澄が風花の正面に立って、青い瞳で微笑む。風花も夏澄に笑顔を返した。



    第一部 夢のはじまりと春ヶ原編  完

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水の空の物語 夢のはじまりと春ヶ原編 近江結衣 @25888955

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